小学校も高学年になると、子供達の学力に差がついてきていることが誰の目にもハッキリと見えるようになります。特に、算数などの場合には、積み重ねの教科という性格上、できる子とそうではない子との差は歴然としてきます。中には、授業について行けず先生に当てられてもただ黙ったままという子もいます。
子供の学力不振を責任転嫁しない
そんな子を持つ親の悩みは深刻です。いろいろと参考書や問題集を買ってきたり、つきっきりで勉強を教えたりします。しかし、いらだつ親の前で子供はますます萎縮する一方です。勉強の成果は一向に表れません。
わが子を落ちこぼれと認めるには、親は大変な勇気を必要とします。何かの間違いでは?そのうち良くなるのでは?と自らを慰める親もいることでしょう。または、学校や教師へその責任を転嫁するほどの親も少なからず出てくるでしょう。子供の成績が悪いのは、誰かに責任があると考える態度はいかがなものでしょうか。
焦点がブレない対策とは
たとえ原因だけがはっきりとわかっても、その時点から子供の成績が上がるわけではないのです。もちろん何が間違っていたのかを考える姿勢を失くしてはいけませんが、対策を考えすぐに行動を開始することも大切です。子供を落ちこぼれから救うためには、責任の所在を追求することなんかより、子供自身に力をつけさせる方が肝心なのです。
まず、どこまで戻れば理解できるかを親は見極めることです。4年生なのに
3年生の計算しか解けない子供がいるかも知れません。親にとってこの事実はショックでしょうが、それがわが子の学力なのですから受け止めなければなりません。
できなかったらやり直す、躓いたらやり直す
そして、その段階からその子の勉強の仕方をやり直すしかないのです。みっともない、恥ずかしいと感じる親もいると思われますが、躓いている子供をほっとくことはできません。他の子と学力の差は広がりこそすれ縮まることはありません。それがわが子を大切にしていることと言えるでしょうか。できないや遅れていることを素直に認めることが大切です。
焦りは禁物、目前の問題解決に集中するだけ
以前、小学3年生の男子の親が、勉強ができないので塾へ入れたものの一向に成績が上がらないと相談されたことがあります。一見、生緩く感じられますが、こんな時は焦らないことです。長い人生です。今がわからないなら6年生になってからあるいは中学生になってからでもいいんです。こんなちょっとした遅れが社会にでてから一体どれだけ差がつくというのでしょう。そんなことが逐一ハンデになることなんかないことは親が一番わかっているではありませんか。
急がば回れ、です。学問に王道なし、です。できないのであれば、できたレベルまで戻ればいいんです。他の子と比べる必要はありません。比較することは親として愚かなことです。問題は、力のないことをごまかすことではなく、力をつけさすための方法を見つけることです。
親は子供が自ら努力する方法を考えてやる
子供の将来を考えるなら、子供が社会に出て強く生きてくれることを望むのなら、親の恥なんてどうでもよいことです。人目を気にしたからと言って、子供に力が付くわけではありません。実力は、本人の努力からしか生まれません。親は、努力させる方法を考えればいいのです。
さて、子供にとって、世の中で一番怖い存在は、いつの時代でもやはり親ではないでしょうか。だから、子供はいつも親の視線を気にします。親の言葉の端々に自分に対する評価を敏感に探ろうとします。そうした子供の関心を上手に利用する方法を考えて見ましょう。
小言は要所要所でタイムリーに
まず最初に、子供の行動に対して親なりの考えを必ず口にするということです。あるいは子供が持ち帰ったテストについて感想を言います。点数次第でうまく持ち上げるような言い方もいいでしょう。そして、要所要所では、足りないところや欠点を指摘することです。言われる子供はうれしいものです。期末ごとの通知表などにも目を通し必ず親なりの正直な感想を言ってやって下さい。
家の中と外の印象は異なって当たり前
場合によっては、先生と反対の評価になることもあると思います。子供の学校と家庭の様子や態度が一致するとは限らないのです。ですから、先生の評価ももっともだが、親も家庭では自分のことを注意深くしっかりと見守っているということをそれとなく伝えて下さい。
学校では、先生一人に対して複数の生徒がいますが、家庭ではそれが一人っ子なら親の独占であり、たとえ兄弟が多くても学校よりは少ないに決まってます。つまり、子供とのふれ合いの密度がきわめて濃いのです。自分の言動や考えがいつも関心を持たれていると気が付くことはこどもにとって大変うれしいことではないでしょうか。
子供への過干渉は百害あって一利なし
ただし、子供の年齢によっては、口の出し方や接し方が違ってくるのは当然です。度が過ぎると、せっかくの親の配慮も無駄になります。干渉が過ぎれば子供にとっての親の存在は、ただうるさい大人でしかなくなります。見ていながら見ていないふりをする場面も必要でしょぅ。要は、タイムリーに見ているという証拠を示してやることです。
子供を和ませる方法は、信頼してることを伝えること
一番してはいけないことは、わが子を見ようとしない態度です。結果が悪い時に、だめと一喝したり、こんな悪い成績でどうするのと叱りつけたりします。しかしそれは、あくまで学校で教師という立場で子供に対する評価です。家庭では、親なりの見方があり評価がなければなりません。先生にはわからなくても、親はわかっているということを伝えれば、子供は勇気づけられ励まされどんなに心を和ませるでしょう。自分を信頼してくれる親を次からは喜ばせたいと張り切るのに違いないのです。
親は子供の良きオブザーバーに徹する
だからこそ、親は親なりの視点でわが子を見つめ続けることが大切です。たとえ学校の教師であっても、他人の評価だけに頼っては、親が見ていたということにはなりません。もっと、子供を見守る自分の目に自信を持つべきなのです。そうやって、あなたをいつも見てるよという姿勢を上手に明るく示して下さい。