暇に任せて思い出してみて下さい。「君はやればできるんだからがんばろう」、とか「やればできるのにやらないからだよ」って言われたこと一度くらいはあるのではないでしょうか。確かにそんなに何回も言ってもらえることではないのですが。
しかし、「やればできるのに」という表現の真意(これは相手の受け取り方によって違いますが)は必ずしも一つではないことは明白です。そして、言われる人と言ってもらえない人がいるのも事実です。この違いは、やはり子育てのプロセスの中にあるようですね。
子供が道端でつまずいてこけました、その時あなたは?
親のとる態度はいろいろです。
(1)子供のそばまで駆け寄りすぐに抱き起こす 、
または
(2)ちゃんと足元を見ないとだめじゃないの、と叱りつける親。
そして、
(3)こんな所に石ころなど置いて一体だれが、と他のせいにする
親もいることでしょう。
(4)子供が何とか一人で立ち上がるまでじっと見守る親も。
どれもこれもよく見られる光景であり親が子供に示す愛情に変わりはないものと思われます。しかし、
親自身の対処の仕方では後々の子供の成長に大きな影響が出てくる場合がありますから注意をしなければなりません。
(1)すぐに子供を抱き起すと子供が自分で立ち上がるというチャンスを奪う ことになります。これは逆に言うと、子供の力を信じることができないのでしょう。子供を先導するタイプです。
(2) 子供の失敗を頭ごなしに叱ることは既に十分それを自覚している子供に追い打ちをかけることになります。失敗を恐れた子供は勇気をくじかれ外に出るのをきっと嫌がるようになります。
(3)そして、他のせいにするのは、親子共に気分晴らしになるだけであり、子供は自分が悪いのではない他が悪いんだと考えることで責任を逃れる 知恵を覚えてしまうでしょう。
となれば、やはり望ましい対処は、
(4)転ぶのは子供のせいであり未熟さの現れでもありますが、そこから学んで 自分で立ち上がるであろうことを信じていられる、それが本当の「木の上に立って見守る・・・親」の姿であろうと思います。子供の背中を後ろから押してあげる、子供の前に出ないタイプです。
やればできるは神話かそれとも幼心を過信させる言い訳か?!
特に、小学校の時は、さほど勉強しなくてもテストは80点以上が普通、先生からもこれなら大丈夫でしょうと言われ親も子も安心慢心で中学へ。
ところが、およそ中だるみの2年生あたりから友達に追い抜かれそれを気にして益々勉強を嫌がり、今では得意な科目すら持ちえない状況・・・。
時として、こんな子供がいますが、それもそのはずです。テストの結果のみにこだわり、学習習慣や姿勢、工夫などいわゆる学習状況がチェックされないまま来たわけですから。
努力をしなくてもそれなりの成績だから、と言う幼心の過信こそ気の毒なことです。
やはり学力向上の基本は学習習慣の積み重ね
このような子供に共通してみられることは、いわゆる直観的でそれに頼りすぎ面倒くさいことを嫌うことです。
きちんとノートを取り復習や宿題をする基本的な勉強の積み重ねこそが効果を発揮するのです。
単に、ひらめきや勘による短絡的なやり方ではなく、順序立てて論理的に理解することが大切です。
家庭学習も目的意識を持って勉強する習慣を
力があり成績が良好な生徒ほど、こうなるのはこうだからという理屈を持っています。
例え、授業の内容が興味を引かなくても、文法などいろいろな約束事や規則的な公式が前提となる基礎学習を面倒くさがると取り返しがつかなくなり、後々膨大な時間と労力が必要となってきます。
そうならないために、もっともっと目的意識を強く持つべきです。そして、できれば小学生の頃からちゃんと目的意識を持って勉強する習慣を身につけてやって下さい。
本来の教育の目的は知恵を出させること
小学校でも、低学年はもちろん躾の指導の比重が高いようです。その目的を達成せんがために、先生たちはいろいろな工夫や知恵を考えます。
たとえば、忘れ物減らし用として、忘れものグラフを作る先生もいます。そして、忘れ物が多い子の動向を観察したりするようです。
やはり口先だけで忘れ物をしないようにという指導よりは、子供なりにグラフを見て自らを正そうとする姿勢づくりが本当の目的です。
今は幼い彼らがこれから成長するにつれて様々な場面に出くわした時、何を見て何を聞いて何を感じ、どんな知恵を振り絞って対処するかということが大切です。
慌てないで冷静に工夫する、知恵を出すクセを身につけさせることが本来の教育の目的ではないでしょうか。
備えあれば憂いなしの心構え
確かに、大人でも忘れ物なんてしない方がいいに決まってます。しかし、大なり小なり誰でもどこでも必ずといっていいほど忘れ物をするものです。
人間の習性とでも言えるのではないでしょうか。忘れ物はしたくないですが、人生はそんなに都合よくできていません。
ですから、したくなくてもしてしまいやすいのですから、忘れ物をしてはいけない方法をあれこれと受け身的に考えるより、もっと積極的に、実際忘れ物をしたらどのように対処するのかということを考える方が気持ちが楽なのかもしれません。
が、やはりその両方について考えをめぐらし準備万端にしておくことが、本当の「備えあれば憂いなし」ということでしょう。