「子どもが私の言うことを聞いてくれない」と感じている親は多いでしょう。これには様々な要因が絡んでいます。どのような理由でこのような状況が生まれるのでしょうか。そして、どうしたら子どもが話を聞くようになるのでしょう。その方法について詳しく紹介します。
頭ごなしに叱る
よく見られる光景に、子どもが何か悪さをした際に瞬間的に「だめ!」と制止することがあります。これは、急な行動に対して反射的に行われることが多いですが、子どもに伝わるのは「怒られている」ということだけです。一方的な叱責は子どもの抵抗を生み、ますます話を聞かなくなる原因となります。親も日常に余裕がなく、思わず感情的になってしまうことがありますが、それが良い結果をもたらさないことを理解することで、少しずつでも対応を変えていくことが可能です。
他の作業をしながら注意する
家事や仕事中など、何かをしながら子どもを注意すると、その情報は子どもにうまく伝わりません。親の態度が真剣でないことが子どもにも分かり、「今の言葉は大事ではない」と判断されてしまいます。特に幼い子どもは、その瞬間瞬間の反応が重要なので、耳を傾けさせるためには一時的でも親が手を止めて、子どもに集中する姿勢を見せることが求められます。
環境要因やコミュニケーションの不足
さらに深く見ると、子どもが話を聞かない背景には家庭環境や親子間のコミュニケーション不足があることも考えられます。家庭内のストレス、例えば夫婦間の不和、兄弟間の偏った注意、親の生活リズムの乱れなどが反映された結果、子どもは話を聞かなくなります。親としては、家族全体のコミュニケーションを見直し、子どもが発するサインに敏感であることが必要です。
効果的な接し方と具体策
ここで、子どもが話を理解しやすくなるような接し方を提案します。どのように言葉を変えるべきか、態度をどう変えると効果的なのかを考えていきましょう。
「〇〇しないで!」ではなく「〇〇しよう!」に変える
これこそ「カリギュラ効果」を逆手に取った方法です。この心理傾向を考慮して、「〜しないで」と言うのを「〜しよう」に変換しましょう。このポジティブな語りかけにすると、子どもは指導ではなく経験として受け取ることができ、行動が改善する可能性が高くなります。例えば、「部屋を片付けなさい」ではなく「部屋を一緒に片付けよう」と誘導するだけで、子どもが自主的に動くきっかけになります。
目を見て話し、親の姿勢を示す
「メラビアンの法則」によりますと、人間の感情が伝わる割合は言葉だけでは7%に過ぎないと言われています。それよりも、視線や顔の表情、声色といった非言語的な要素で感情が伝わるのです。ですから、指導や注意をする際には子どもの目を見て、親の本心を全身で伝えることが肝要です。さらに、この方法は信頼関係を築く第一歩とも言えます。
日々の習慣として親子のコミュニケーションを豊かにする
日常的に子どもとコミュニケーションを増やすことで、突然注意する時でも子どもは自然に受け入れることができるようになります。毎日の食事の際や寝る前、登下校の時間を活用して、ポジティブな話題を持ち込んで親子の対話を促してみましょう。こうした会話の土台は、親と子どもを結びつけ、指導が必要な場面での理解を促します。
避けるべきNG行動
次に、子どもが話を聞かなくなる可能性がある行動や習慣について説明します。
継続的な注意を避け、適度な距離感を保つ
四六時中注意し続けると、子どもは親の注意そのものを圧力として感じ始め、防衛反応として無視や反抗的な態度を取るようになります。ですから、指摘が必要な時のみ短く、簡潔に、そして愛情をもって伝えることです。たとえ叱ることがあっても、その後に愛情を伝えることで子どもは親の言葉を受け入れやすくなります。
イライラ感情をそのままに注意しない
子どもに対する不適切な言動は、親の感情がコントロールできていない状態から生じることが多いです。イライラした気持ちがピークに達したときこそ、一度深呼吸し、心の準備をすることをお勧めします。アンガーマネジメントでは、6 秒間待つことで衝動的な気持ちは和らぎ、適切な判断がしやすくなるとされています。そのため、感情に振り回されずに落ち着いて対応できるよう心がけてみてください。
無意味な脅しを避け、自身を制御する
「これをやめないと罰があるよ」などの脅しは、言ったことを実行できない場合に逆効果となってしまいます。本当に実行できる対策を持ちながら、誠実に接することが必要です。子どもも親の一貫性を感じ、より聞く耳を持つようになるでしょう。
まとめ: 親がまず聞く姿勢を持とう
子どもが話を聞かない原因は、往々にして大人の接し方や環境によるものです。子どもが周りの言葉に耳を傾けるためには、まず親がすべきことを理解し、行動する必要があります。以下の点に留意して、子育てに活かしてください。
– 前向きな指示に変え、ポジティブな環境を作る
– 目をしっかり合わせ、親として真摯に接する態度を見せる
– 日々のコミュニケーションを意識的に増やして信頼関係を築く
– 急な感情に振り回されず、冷静に対応する
– 実行できない脅しに頼らず、具体的な策を持つ
親の意識が変われば、おのずと子どもの反応も変わってくるはずです。親子共に心地よいコミュニケーションが取れ、より良い関係性が築けることでしょう。