子供たちの学びは、保護者の適切な関わりなくしては成り立ちません。遊びやゲームに夢中になりがちな子供に、いかにして学習の習慣をつけさせるかが課題となるでしょう。
しかし、この時期に身につけた習慣が、将来の自走力を大きく左右します。中学・高校時代の主体的な学びへとつながり、志望の進路実現への重要なステップとなるのです。子供の可能性を伸ばすために、親は学習習慣の定着を適切にサポートする必要があります。
今回は、効果的な習慣化の方策と、親としての役割を解説します。さらに学年に応じた勉強法も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
習慣化に向けた3つのポイント
学習習慣の定着により、子供は意欲的に取り組み、達成感を味わえるようになります。それが将来の自信につながる大切な経験となるのです。
ただし、アプローチを誤ると勉強を嫌う逆効果にもなりかねません。まずは継続することに主眼を置き、時間にはこだわらずに習慣化を図りましょう。以下が習慣化への3つのポイントです。
●計画性を持たせる
規則正しい生活リズムの中で、毎日一定の時間を学習に充てることが重要です。例えば「帰宅後の5時から6時は勉強する」など、明確な目標を設定するとよいでしょう。さらに、「30分は自分の苦手科目に取り組む」などの具体的な課題を立てるのも有効です。
学年に応じた1日の適正学習時間の目安は以下の通りですが、平均的には1時間前後が理想的です。
小1:38分 小2:44分 小3:48分 小4:56分 小5:58分 小6:1時間7分
子供の体調やスケジュールに合わせて柔軟に対応しつつ、毎日の習慣化に重きを置きましょう。無理強いは逆効果です。
●家族ぐるみでの取り組み
保護者や兄弟と一緒に勉強する習慣をつくるのがお勧めです。家族全員で学びに向き合う姿勢が、子供の模範となり、モチベーション向上に役立つでしょう。
資格の勉強や読書など、気軽に続けられるものから始めましょう。何より「自分だけが勉強しているわけではない」と子供に実感させることが大切です。
一人では意欲が続かない子供でも、親と一緒なら頑張れる、といったケースは多々あります。家族で学びを共有する体制づくりが、継続を促す秘訣なのです。
●称賛を惜しまない
上手な賞賛は子供の意欲を大きく高めます。「今日もよく頑張った」「こんな問題も解ける様になったんだね」と、過程を讃えることが何より重要です。
点数のみを賞賛すると、結果主義に走りがちです。そうなれば子供は過剰なプレッシャーを抱え込むことにもなりかねません。
日々の努力を評価することで、継続することの大切さが自然と身につくのです。その結果として、着実な学力アップが期待できるのです。
学年別のアプローチ
年齢や学年に合わせた適切なアプローチが不可欠です。低学年から中高学年にかけて、徐々にステップアップさせていく必要があります。ここでは、各ステージでの勉強法を紹介しましょう。
●低学年(小1・2年)
この時期は、短時間の机に向かう習慣づくりが肝心です。学習そのものへの抵抗感が強い低学年児には、ドリル問題集などを活用するのが賢明でしょう。
教科書の予習は避けましょう。予習済みの内容は、授業の妙味が半減してしまいます。一方で復習も飽きの元になりがちなので避けるべきです。
まずは簡単で楽しいことから始め、机に向かう習慣を身につけさせることを主眼に置きましょう。
●中学年(小3・4年)
中学年になると、苦手意識を募らせる子が増えてきます。算数の難易度が上がり、新たに理科社会の学習も加わるためです。
暗記科目の増加に戸惑う子も少なくありません。家庭では地図やポスターなどを活用し、クイズ形式で楽しみながら学べる工夫をするとよいでしょう。日常の中に問題意識を紛れ込ませることも、算数ドリルに役立つ賢明なアプローチです。
教科別のおすすめ勉強法
●国語
国語は、読解力と文章力の両方が重要です。読解力を高めるには、本をたくさん読むことが一番の近道です。
お子さんが興味のありそうな本を一緒に選び、楽しく本を読む習慣をつけましょう。保護者も子どもと一緒に本を読むなど、読書の機会を増やすことが大切です。
文章力を伸ばすには、毎日書く練習をするのがおすすめです。低学年は手紙やメモ、日記を書くなどでOK。中学年以降は、自分の意見を論理的に書く力が必要になってくるので、感想文やレポートを書く練習をしましょう。
●算数・数学
算数・数学は、苦手意識を持つ子どもが多い教科です。しかし、苦手でも続けることが大切です。
低学年は視覚に訴える学習教材を利用するとよいでしょう。例えば、計算ドリルの横に積み木を並べて数を確認しながら進めると、楽しく学習できます。
中学年以降は、基礎を身につけるため問題演習に力を入れましょう。難しい問題は飛ばしても構いませんが、同じ問題でも理解できない箇所は保護者に質問するなどして徹底的に理解を深めることが大切です。
●理科・社会
理科は観察や実験を通して、社会は調べ学習を通して学ぶことが大切です。保護者は一緒に課題に取り組んだり質問を促したりするなど、学習を支援する役割を担います。
低学年は理科と社会がつまらなく感じることもあるので、TV番組や科学雑誌を活用するのもよい方法です。中学年以降は調べ学習をしっかりサポートすることが重要になってきます。
勉強する時間を決めるだけでなく、子どもの成長に合わせて勉強のやり方も工夫することが大切です。保護者も一緒に頑張れば、きっと良い成果が得られることでしょう。
これまで、子どもに学習習慣をつけさせるための具体的な方法をご紹介してきました。学習習慣をつけることで、子どもは自ら学ぼうとする意欲を身につけ、確かな学力を身につけられるのです。その過程で経験した努力と達成感が、将来への自信につながるといっても過言ではありません。
小学生の頃から勉強習慣をつけさせるためには、保護者による適切なサポートが欠かせません。ただし、子どもにとって無理のない範囲で、焦らず地道に続けることが何より大切なのです。
一方で、教科によっては適切な学習方法があります。子どもの成長段階に合わせて、勉強のやり方を工夫していくことも忘れずに。
子育ては大変な面もありますが、子どもの可能性を伸ばすことはきっと素晴らしい喜びとなるはずです。保護者と子どもが力を合わせ、楽しみながら勉強に取り組んでいけたら理想的です。子どもの成長を第一に考え、寄り添いながら見守り続けることが、保護者に課された大切な役割なのかもしれません。
【学ぶ環境づくりが成長への鍵】
家庭学習は、一人きりで任せきりにするのは適切ではありません。特に低学年の子には、保護者の側で見守ることが何より大切です。そばにいるだけで緊張感や安心感が生まれ、集中力が増すのです。
つまずきそうな箇所にも気づきやすくなり、適切なフォローが可能になります。子供の勉強時間には、できる限り側に付き添うようにしましょう。子供の表情や仕草から、疲れや戸惑いを読み取れるよう努めることも大切です。そうした細かなサインを見逃さず、適宜声をかけるなどのケアが効果的でしょう。
一方で、適度な休憩もメリハリのある学習には欠かせません。散歩やおやつタイム、ゲームなどでリフレッシュさせてあげることが重要です。子供の体力的・精神的な負担を過度に強いては、かえって学習意欲が低下してしまいます。子供ペースで適宜休養を促しましょう。フレッシュな気分で学習に臨めるよう、休息のタイミングを計る必要があります。
また、勉強を強要したり、間違いを責めたりすることは避けるべきです。そうした態度は子供の自主性を損ね、知識の定着を阻む恐れがあります。自発性を尊重し、子供なりの興味関心を喚起するサポートに徹するのが賢明です。結果にとらわれすぎず、プロセスを大切にするという姿勢が何より肝心なのです。
日々の生活の中にも、学びの機会は潜んでいます。買い物の際の値引き計算や、旅行で出くわす地理情報など、子供に常に問いかけを投げかけましょう。そうした機会を活かし、家庭内でも手軽に学びを促せるよう工夫することが大切です。また、休日には科学館や博物館への外出を心がけるなど、授業の広がりを意識づけてあげることで、学びへの関心が高まるはずです。身近な環境を活用し、子供の知的好奇心を喚起する努力が肝要といえるでしょう。
《専門家に学ぶ最適解》
子供への勉強の仕方は、保護者だけでなかなか上手く伝えられないものです。そうした場合は、通信教育や家庭教師、塾などの専門家に任せるのがよいでしょう。
通信教育は、作り手の工夫により子供の学習意欲を喚起するテキストと付録が用意されています。反面、家族の見守りが不可欠です。定期的に子供の進捗を確認し、フォローする体制が必要不可欠といえます。
家庭教師は1対1の丁寧な指導が可能ですが、コストが課題となります。ただし最近では手頃な価格でオンラインでの指導も利用できます。教師の質を確認しつつ、柔軟に活用するのがベストな選択肢となるでしょう。
塾に通えば、学習環境に身を置けるため集中力を維持しやすくなります。プロの講師から系統立てた授業を受講でき、つまずきも放置されません。丁寧な指導で着実に理解を深めていけるでしょう。塾選びも重要ですが、通塾のメリットは大きいと言えるでしょう。
小学生の頃に身につけた基礎的な学習習慣が、その後の人生を大きく左右します。いずれかの専門サービスを利用し、子供の学びを確かなものにすることが賢明な判断となるはずです。経済的な心配がある場合は、家族でよく相談する必要があります。教育費の確保は喫緊の課題ですが、子供の未来に投資する価値は十分にあると言えるでしょう。
子供の可能性を最大限に伸ばすには、保護者の適切な関わりが不可欠です。しかし、時として専門家に助けを借りることで、より良い環境を子供に与えられるかもしれません。子供の成長を第一に考え、柔軟な対応を心がけたいものです。一人ひとりの子供に合わせた、最適なアプローチを見出していく必要があります。子育ての喜びを噛み締めつつ、前を向いて進んでいきましょう。