現在の受験は、単に暗記力だけでは十分ではないことを知っていますか。すでに教科書や参考書などの丸暗記では対応できない傾向に変わっています。真面目に学校の勉強さえしておけば合格するという時代ではないのです。
受験勉強は一般常識を身につけることが必要
特に、難易度の高い学校の入試はこの傾向が強くなりました。私が学生の頃は、教師は異口同音に暗記の重要性を強調し、受験を不安がる親や子供をなだめ安心させようとしました。実際、当時の受験に関する状況はその通りでした。私の周りでも塾や家庭教師を利用する生徒も少なかった記憶があります。
しかしながら、現在の受験状況を鑑みますと、受験の勉強ばかりではなく、いわゆる一般の常識を身につけるのも同様に重要であると思っています。受験の役にも立つことですから。
知らない世界を知り関心を広げる姿勢づくり
自分に関係がないことはる無関心、見て見ぬふり、という人間が多く見かけられるようになりました。こうした思い込みは、ややもすると自分の住む世界を狭いものにしてしまうのではないでしょうか。考えてみて下さい、
社会の構成が一人一人の人間を基準として成立されている限り、自分と全く無関係のものがあるはずはありません。実際、この世の中の全てのことに関心を持つことは不可能であるとしても、少しずつ他の世界へ関心を広げていくという姿勢は親も子も失ってはいけないのです。
生きる知恵や常識を学ぶことが社会勉強
世の中に出てから役に立つのは、学校の勉強で学んだことより、体やあるいは心で感じた生きる知恵や常識であるという事実は今更言うべきことではないほどあたりまえのこととして認識されています。大人になれば誰でも気づくことです。そして、気づくことで仕事が充実してくると言えます。
子供の勉強以外の興味や関心をよく観察する
子供の仕事は勉強です。そうであればなおさら豊かな一般常識を学んで身につけば学校の勉強内容ももっと充実してくるのではないでしょうか。学校や塾の勉強だけをちゃんとやっていることだけを満足しないで下さい。たとえば、どんなテレビ番組を見たいのか、どんな情報に敏感なのか、どんな本を読んでいるのかなどについて、子供の勉強態度と同様に注意深く観察することが大切です。全く興味や関心がないようであれば、親がうまく導いて上げることも必要です。
勉強内容について動機付けをすると伸びるきっかけになる
テストの点数が良くても、それだけで子供の能力が優れていると喜ぶことは危険かも知れません。成績のみならず社会的常識や自然に関する知識がどれだけあるかということも大切な側面になるのです。自分が勉強する内容は大人になった時、自分のためになるのか、誰かの役に立つのか、社会に貢献できるのかと考えながら取り組む姿勢が自分の得意なことをさらに伸ばすきっかけになって行くのです。
とにかく受験に関係がない勉強はしない、合格するまでは無駄なことは一切しないなどと親が子に押し付ける限り、子供が今までに蓄積した知識は価値のないものになってしまいます。これこそが無駄の極みです。実にもったいないことです。同じ100点を取ったからと言って、素直に喜んでばかりもいられません。というのは、必死になって勉強した子と、余裕たっぷりに勉強した子とでは、その後の成長に大きな差がつくのは明白です。
受験勉強は目に見える子供の実力の一部
受験勉強に専念するのはもちろんなのですが、それ以外に関心があるものをうまく取り込んで勉強の幅を持たせる。このような力も受験生には必要になると思います。特にこの特殊な性格を持つ受験勉強というものは、点数主義に偏っていることは否めない事実であり制度でもあります。しかし、この多感な時期の最中にある受験は、目に見える力だけをあてにしてはいけない、信じ切ってはいけない、それは子供の力の一部にすぎないことに気づいて欲しいと願っています。せめて親は子供の第三者には見えない部分を見えるように努力をして下さい。
受験に必要な本当の力
子供の性格をいろいろと分析をしながら親なりに評価して見て下さい。すると、計算は遅いけど粘り強く考えるみたい、文字は汚いけど作文などの組み立てはしっかりしてる、とか優れた所を見い出してやることが大切です。繰り返しますが、受験勉強はたくさんの知識を身につけながら、それをどのようにして効果的に用いるかという技術、知恵、さらには難関にも負けない強い忍耐、負けん気、未知の分野にチャレンジする好奇心や勇気などなど、たくさんの能力が必要なのです。
しかし、程度の差こそあれ、大なり小なりこのような能力は本来備わっているものではないでしょぅか。毎日の生活の中で大人は無意識の内にこのようないろんな力を結集して生活しているはずですから。人間が生きる上に必要な力というのはいろいろな能力がバランスよく整えられ能率よく働くことによって生まれるのだと思います。実力がないと評価される人は、自信の能力を無駄に効率悪く使っているだけなのかも知れません。
このことは受験生にも全く当てはまることなのです。彼らもこれまで各種の能力を身につけて成長してこれたのです。大切なことは、それらを勉強に集中させることができたかどうかで差がついてしまうのです。集中させることに重点を置く、つまり集中力の高い勉強をする子供は、必死にならなくてもいい成績を取ったりするものです。
子供の見えない力を見つけるのは親
能力は、本来、誰にでも平等に与えられているはずなのです。しかし、現実としては必ずしもそうではありません。子供に冷静になって自分を分析しなさいと言えるはずがありません。まだ自分を見つめるという能力は不十分なのですから、その役目は親が担当するべきでしょう。
親だからこそわが子を長い目で見れる
決して見える成績だけに頼ってはいけません。親は子供の見えない力を見つけてやって下さい。親のこのような姿勢が子供を逞しく伸び伸びと成長させます。本当の実力とは何かということに気づく親は、わが子を長い目で見れるようになるでしょぅ。仮に受験に失敗しても、子供はそれをバネにして大いにがんばるでしょう。成績だけにこだわる限りは親も子もともに成長できないことを理解して下さい。運よく合格しても同じような壁が待っています。
子供の力を発見し伸ばしてやることを考える間に親自身も力が身についてくるのです。従って、確実に合格できるという保証は、それ相当の実力と成績がうまく調和している子供であると思います。