意欲的な姿勢こそが可能性へのファーストステップ

【要点】 学習の基本条件は押し付けではなく「意欲を引き出す」こと

【理由】 子供の意欲を喚起し内在する力を引き出すことが、学習成果や自己肯定感につながるから

【具体例】 子供の興味に合わせて話題に加わったり、適度な要求や評価をしたり、世の中の偉人の伝記を紹介したりすることで、子供の意欲を引き出すことができる。
 一方、感情的な勉強の催促や拘束は、子供の積極性を委縮させる。例えば、

 子供が動物が好きなら動物園に連れて行ったり、動物に関する本や映像を見せたりして、生態や特徴について話し合う。

 動物園では、動物たちの姿や声に触れて感動したり、飼育員さんから動物の知識やエピソードを聞いたりして、学びのきっかけになる。

 本や映像では、動物たちの生活や習性、生息地や食べ物などについて詳しく知ることができる。これらの情報は、理科や社会などの教科とも関連しており、学校での学習にも役立つ。

 子供が算数が苦手なら、自分のレベルに合った問題集やアプリを用意して、正解したら褒めたり小さなごほうびをあげたりして、「成功体験」を与える。

 問題集やアプリでは、子供が得意な分野や苦手な分野を把握し、適切なレベルの問題を選んだり、解答方法やコツを教えたりすることができる。

 正解したら、「よくできたね」「すごいね」と褒めたり、「好きなお菓子」や「好きなテレビ番組」などの小さなごほうびをあげたりすることで、自信と達成感を高める。学習意欲や持続力につながる。

 子供が歴史に興味があるなら、歴史上の人物の伝記やドラマを紹介して、「なぜ偉い?」や「どんな困難に直面した?」という質問でディスカッションを試みる。

 伝記やドラマでは、歴史上の人物の生涯や業績、性格や思想などについて知ることができる。これらの情報は、歴史だけでなく国語や道徳などの教科とも関連しており、学校での学習にも役立つ。

 「なぜ偉い?」や「どんな困難に直面した?」という質問では、子供が自分の考えを述べたり、他者の意見を聞いたりすることで、思考力や表現力、コミュニケーション力を養う。

【補足】学習心理学者のデシらは、「自己決定理論」という学習動機づけのモデルを提唱している。このモデルによると、人は自分の行動に対して「自分で決められる自律性」「できるって思える有能性」「みんなと仲良くできる関係性」の3つの基本的ニーズを満たされると、内発的な動機づけが高まり、学習に取り組むことが楽しくなるという。

 自律性とは、「自分で選択し決定することができる」という感覚である。例えば、「何を勉強するか」「どんな方法で勉強するか」「どれくらい時間をかけるか」などを自分で決められると自律性が高まる。

 有能性とは、「自分は能力があって,目標達成が可能だ」という感覚である。例えば、「難しい問題に挑戦して解けた」「先生や親から褒められた」「テストで良い点数を取った」などの成功体験が有能性を高める。

 関係性とは、「他者から受け入れられ,大切にされている」という感覚である。例えば、「友達や先生と一緒に勉強した」「家族から応援された」「誰かに教えてあげた」などの人間関係が関係性を高める。

 親は子供のこれら3つのニーズを満たすように努めれば,子供は内発的動機付けで学習するようになり,より高い学習成果や自己肯定感,幸福感等が得られる可能性が高まる。

【まとめ】

●子供が自分から学びたいと思うようにするのが、学習の基本条件です。子供が自分から学びたいと思うと、学力や自信が上がるし、楽しくなります。そのためには、親はこんなことをしてあげましょう。

●子供の好きなことに関心を持って話したり、できたことをほめたり、すごい人の話を聞かせたりすると、子供はやる気が出ます。

●子供が自分で勉強の目標や方法や時間を決められるようにしてあげると、子供は自分のことだと思えます。

●子供が勉強で成功したり、友達や先生や家族から認められたりすると、子供は自分はできるんだと思えます。

●親は子供のそばで一緒に勉強したり、応援したり、助けたりしてあげれば,子供はもっと学びたくなるでしょう。

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