子供達に意欲の喚起を促そうといろんな話題を投げかける時、思いつきに任せるよりはきちんと話の順序や組み立てなどは予め準備しておく方がいいと思います。話の展開がありきたりで内容に工夫がなければ子供達も退屈で何らの印象も与えられないと思います。
感動を与えるためには段取りが必要
やはり相手に何かを感動として印象深く訴えるためには「えっ!」と驚く意外性というものが必要になってきます。当たり前の内容を並べるような単調な話し方では感動など生まれるはずがありません。大人でも子供でも勉強でも仕事でも何をするにしても準備段階として段取りというものは最小限度用意することが必要です。しかし、
何事においてもいくら段取りが必要であることは承知していても実際やりたくないものがあるものです。子供達の勉強にとって例えば漢字を覚えるために何回も書き写す練習や多量の計算問題をひたすら解き続けることも大変嫌われます。これはいずれも課題としては単調すぎるそして根気がいるからです。取りかかる前から嫌がっていますから集中力も途切れがちで気持ちも緩みっぱなしになります。
簡単&単純はミスの元
が、どれだけ簡単で単純であってもそれらをこなせばこなすほど必ずミスを犯しやすくなります。基礎的な問題であってもそれが100個であれば休むことなく最後まで解き続けてノーミスの子供なんて数えるほどでしょう。だからこそチャレンジすることが大切なのです。
退屈なことほど問題意識の発見につながる
このような話を段取り立てて話すと子供たちはあらためて問題を解き始めるのです。これはたくさんの問題を解くことの意義がわかり最後までやりきるという明確な問題意識を発見したからです。あれほど嫌がってた作業が一変した瞬間でもあります。確かに子供たちにとってこのような課題は退屈な作業に思われますが、学力向上を目指す上で必要不可欠の手段であることに間違いはありません。ややもすれば楽な方へ流れやすい習性を我慢しながらそれが退屈で辛いことであっても必要なことならやり遂げる努力を要求されているのです。あえて辛いことをするのですから苦しいと感じるのは当たり前、苦しむこと自体が目的の一つでもあるのですから。
努力の対象、つまり何のために努力しているのかを認めること
受験勉強は限られた時間がある以上、無理や無駄を省き効率よく取り組まなければなりません。特に苦しむことなく時間だけが無情に過ぎて何の努力もしなかったら虚しさだけが残るのではないでしょうか。受験生にとって受験だけが辛いものではないということをはっきりと認識することが大切です。今現在自分が置かれている努力の対象が受験であるだけのことなのです。
面白さは関心をそそるが相当の努力が要求される
人間として万人に等しく与えられた能力を活用する責任があり、対象が何であれその達成に向けて努力しなければならないのは全く同じことです。しかし私も教える立場である以上例外なく努力することの大切さを口先で連呼するだけでなく、子供達の関心をそそるような面白い教え方をする必要があります。つまり、授業が面白くてためになるような工夫をし彼らの意欲を引き出す魅力あるものに作り上げる努力が要求されます。そしてこのような子供たちに知られることのない試行錯誤を繰り返しながら教え方のノウハウを形成し積み重ねていくのです。
そして努力もさることながら、やはり大切なことは子供達を激励しながら頑張らせたいと願う気持ちに他なりません。私も含めた親以外の第3者として彼らの支えになりたいという根本的な願いに基づいて日々指導しています。だからこそ、授業という共有物を魅力あるものにするために工夫し研究しレベルアップを図っています。単に表面的な笑いを誘うばかりではつまらない作り物にすぎません。面白いけどつまらないという授業は本末転倒です。授業の本当の面白さと冗談などのそれとは比べ物にならないほど大きく異なります。つまり、知識を得る喜びを継続できるかということです。決して、面白さは笑いを誘うことではないのです。
面白さは信頼関係のバロメーター
もう一つ大切なことは、子供達に学ぶ喜びを伝えるためには、彼らとの人間関係を良好に保つということです。授業を面白く感じるのは彼らとの間に心のつながりがあるから生まれるものなのです。言い換えると、子供達から私たち教師への思いやり的な感情の移入ということです。感情移入のあるナシが教師への評価のバロメーターにもなり得ます。そのためにはこちら側から子供たちに感情を移入しなければなりません。それがなければいつまでたっても心を許すことなく信頼がない関係が続くでしょう。
喜怒哀楽は信頼関係構築の秘訣
さらに子供たちの話をよく聞いてやることも必要です。誰でも話を聞くよりは自分が話す方が好きです。自分の話を聞いてくれることを好むものです。これは私たち教師と生徒たちの関係においても同様です。自分の感情を上手く伝える方法として、喜怒哀楽のメリハリをつけると表情豊かになり相手に感情移入がしやすくなりいい関係が築かれます。人を動かすためには、感情豊かな気持ちや話し方の技術も必要です。相手が素直な子供である以上、このような心がけを守ることがとても大切であるとひしひしと思います。