指導歴40数年のベテラン推薦、親との理想の懇談とは

 私のこれまでの教育関係の指導経験は、主に「塾」における進学指導が中心です。従って、親も子も学校以上に感情豊かにストレートな本音を打ち明ける場合が多くあります。それほど塾への期待値は高いのではと思っています。

 塾は親子間のバトルの矛先になり得る 

  特に、塾という性格上、強制されないこともあり退塾を希望する相談も少なくありません。特に進学塾の場合、学校と異なり学力別クラス編成のためクラスにより勉強への取り組み方は一様ではありません。従って、勉強が辛くなって辞めたくなる生徒が出てきます。クラスによっては厳しめの勉強を強いられるのは当たり前ですから仕方がありません。

 そして、退塾希望の家庭では退塾をめぐり親子間のバトルが勃発します。親はどうしても授業料の見返りとして成績向上を求めがちですから、子供の成績が下がったり振るわなかったりすると不平不満が多くなり子供も感情的に反発するという悪循環に陥ります。

 受験期の懇談は親への精神的なケアも

 特に、受験の追い込み期になると親からの相談事で塾への出入りが頻繁になりなかなか気を休める暇がありません。この時期は、子供たちへの教科指導はもちろん、受験生を持つ親への精神的なケアなども行います。これも受験期の指導としてはとても重要な意味があります。親が感情的になればなるほど

 子供は情緒不安定になり勉強どころではなくなります。過去には、親の過干渉が原因で受験を放棄した子供もいたほどです。必ず子供の受験体制の妨げになるのは必至です。

 懇談のスタイルはその状況に応じて臨機応変体制

 このように受験関係に限らず、いろいろな相談を受けますが、こちらの対応の仕方によっては避けられない事態を招くことがあります。最悪は、親の一方的な考えで退塾させられるたりするので親との懇談の際は相当の気を使うことは否めません。

 例えば、子供がヤル気がなくてスマホいじりやゲームに熱中して一向に勉強しないとかテストが間近に迫って来たのに机に向かう気配がないという相談が多いのですが、必要に応じて親と子を同席させて3者懇談の形式で行う場合があります。

 3者懇談の方が早めに問題解決しやすい

 通常は、親だけあるいは子どもだけの2者懇談が普通ですが、親の前で肝心な本人の意見を確かめることも大切な時があります。これは家庭ではお互いが冷静に話し合うことが困難な場合です。双方の本音を取りまとめながら適切な助言を与えると意外と早めに解決へ向かうことも多いです。

 親の相談は勉強以外の家庭内の問題も多々含まれる 

 わが子への対応の仕方がわからず右往左往している親は少なくありません。どうしていいのかがわからないのです。このように親自身が混乱しているようなケースの場合は、原則として子供を同席させて懇談します。相談事の根本には、勉強以外の家庭内の複雑な問題が含まれていることがあります。だからこそ懇談の時には親子それぞれの言い分を必ず良く聞いてあげるように心がけています。 

 今までの懇談時間最長は3時間に及んだケースがあります。私が親の考えや意見を重点的に聞くようにしているからです。本来は子どもの成績関係の相談ですが本音は奥深いものがあるようです。家庭不和の問題であったり近所付き合いのことなどそんなことまでとあきれさせるくらい実に種々雑多なことで悩んでいる様子がうかがえます。つまり、相談内容の元がどこにあるのか何にストレスを抱えているのかということが良くわかるのです。

 相談事はしっかり聞いてその出所は何かを探ることが大切 

 従って懇談開始早々こちらからありふれた教科書的なアドバイスを与えると親は口を封じられたような感覚になりますます訴えたい気持ちが募ってきます。親(圧倒的に母親が多い)の懇談に求めるものがなくなるのですから、こちらに対して一種の幻滅を感じ子供と相談しないまま退塾させようとするのです。

 だからこそ相談事の出どころは何かということを最初に見出さなければならないのです。そのためにも親の話をしっかり聞いてあげることが大切です。聞いてあげれば状況がわかり出し悩みの元が見えてきます。親も言いたいことを吐き出すことができるので気もちもスッキリするのです。懇談前と後では親の表情が違うことさえあります。

  頑張ってる親ほど同調や理解を求めやすい

 やはりほとんどの場合、親は自分の考えに共感して欲しいのではないかと思われます。家庭内のことや子供のことなどいろんなことを一人で抱えこんで相談相手もなく自分で決めなければいけない環境の中で必死に頑張っている親ほど同調されたり理解されると安心するものです。確信を持って親の胸を打つことが懇談の重要な所ではないでしょうか。

 懇談の目的は親自身への同調も必須である 

 そして、懇談の最後には、親の内向きになりがちな考え方をもっと外側に向ける(家族旅行や料理、趣味、子供の将来のことなど)ように提案するのです。このように、私の経験上、親との懇談において心がけることは、よく聞いてあげる、そして親の求めるものを見つけながら同調しながら解決を図ることであると思います。

 

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