さて、「家風」という我が国独自の「和」の伝統と厳かな雰囲気を感じるこの言葉、今時はもうデッドワードになったのでしょうか。
家風は子供たちの成長において心の糧である
家風とは、他家とは違うその家ならではのしきたりやものの考え方、価値観などのことですが、先祖代々に継承されてきた伝統の中で、自分の家の人たちは独自の価値観を共有し、生きる指針として活用し人生を豊かなものにしてきました。その家の子供たちはその独特の雰囲気の中でまるで空気を吸い込むように家風というものを心の糧にしながら大きくなったものです。
現代では、急激に核家族化が進む中、家風と呼ばれるものはどんどん姿を消していきつつあります。確かに、温故知新、古いものを大切にするべきであるという考え方を否定する気持はありませんが、執拗にこだわって新しいものを取り入れないという態度はいかがなものかと思います。
家風は何代にも渡って守り抜く揺るがない価値観
親の世代が、あるいはその前の祖父の世代が守り通してきた古きよきものがあるのなら、そこには時代を越えて脈々と流れる価値という揺るがないものがあるかもしれないと考えます。いつの時代にも大切なものとして,
何代にも渡って守り抜き継承する、本来の家風というものはこうあるべきだと思います。そうすれば家風を作り出すことも続けることもできると思います。
親子が顔を合わせる機会が多いほど子供に良質の影響を与える
そして、その家風そのものが知らず知らずのうちに子供にもいい影響を与えることも期待できるのではないでしょうか。そのためには、親子が顔を合わせる機会を多く作ることです。さらに世代を超えた親子の考えや価値観を交わすように心がけることが大切です。
子育てにいい家風を作る条件は、子育てに関する価値観が一致していること
一生懸命子育てをしながら自分でも働いている母親がたくさんいます。子供に接する時間が多いからという理由だけで、家風は母親一人の力で作ることはできません。家族全員が共感できる考え方が生まれ育ってはじめて家風になり得るのですから、両親のどちらか一方だけしか子供の相手をしないということでは家風を形成することは不可能です。両親の子育てに関する価値観が一致していること、その価値観に基づいて子育てに取り組むこと、これは子育てそのものの最低必要条件でもあります。
親の考えが一致する家風の中で子供は納得する
毎日の生活の場では、母親が父親からの思いを子供に、子供からの願いを父親に伝える橋渡しをすることです。親の考えが一致していることが子供に伝われば、それは自分の家の考え、つまり家風になるということです。そして、それが子供達に納得されれば家風という価値観の中で健やかに成長することができるのではないでしょうか。
家風は家族の努力による価値観の積み重ね
家風が立派だからできの良い子が生まれて育つ、そんなことは必ずしもそうではありませんが、家風という考え方が頭から否定できないのは、家風そのものに何世代にも渡るたゆまない努力があるからこそ、意識するしないにかかわらずそこに住む人たちに伝わるからでしょう。
家風は家族が語り合って作り上げるもの
もちろんわずか数世代でそれ相当の家風が生まれるわけではありません。いい家風を作ろうとする親の姿勢がなければ家風というものは生まれようがありません。家族みんなで将来の夢や希望を語り合い、親子でそれぞれの世代の考えを出し合う、また夫婦の間では考え方の違いや溝を縮めて行くなど、これらのような日常の生活における細やかな努力が子供にとって成長する大きな後押しになるのです。
親としてお互いに納得できる価値観づくりそのものがいい家風である
父親はあたりまえのように、子供の教育は母親に任せている。父親の分までしっかり躾けるようにと言われる母親の立場になると、任せられた母親は、その都度、経過報告をしなければならないのです。特に、成績が下がったりすると母親の教育不足を指摘し小言を言うばかりで、母親の苦労など一向に考えない。このようなやりとりが絶えない親は家風づくりなど不可能であり、肝心な子供の健やかな成長は到底望むべくもありません。やはり、多少のずれはあっても結局はお互いが納得できるという価値観づくりこそ子供の成長にとって確かな成長の指針になり同時にそれこそがいい家風であることの証明になるのではないでしょうか。