ラン「子供たちをどうやって伸ばすか、本当に難しい問題よね。『褒めて伸ばす』っていうのは一つの方法だけど、愛着の問題を抱える子供には、それだけじゃ十分じゃないの。褒めることが、いつの間にかおだてることに変わってしまい、子供が欲求不満になることもあるわ。」
リン「ええ、その通りね。子供たちが『もっと褒めて』と要求するようになると、それがエスカレートして『おだてる』ことに変わり、最終的には支配関係に発展する危険性があるのよ。大人としては、その瞬間の『感情』を大切にしながら、どの部分が良かったのか、具体的に褒めるべき点を子供に伝えるべきよね。」
ラン「そうね、愛着の問題を抱える子供たちは、叱られても学ぶことができないの。だから、叱ることで混乱させてしまうのよ。困った行動の背後には、感情の問題があるのよ。だから、接し方を間違えると、子供の状況をさらに悪化させてしまう可能性があるわ。」
リン「特に、愛着の問題を抱える子供たちにとっては、一般的な『いい』とされる対応が、逆効果になることがあるのよね。例えば、子供が何か困った行動をした時に、大人が反射的に厳しく叱ることがあるわ。」
ラン「叱ることは、その行動をやめさせ、今後も繰り返さないようにするためにするものだけど、愛着の問題を抱える子供たちは、その叱り方から学ぶことができないのよ。自分の行動を反省して修正するためには、自分の感情を振り返る必要があるけれど、愛着の問題を抱える子供たちは、その感情の発達が未熟で、自分の気持ちを理解することができないの。」
リン「だから、叱られると、子供たちはさらに混乱してしまうの。『なんだかわからないけれど、責められて嫌な気持ちが増えた』と感じて、相手を責めて自己防衛的になるのよ。叱ることで、子供のネガティブな感情が増えて、困った行動も増えてしまうの。叱られて口を聞かなくなる子もいれば、パニックになって攻撃的になる子もいるわ。」
ラン「そうね。でも、叱って行動が改善する子は、愛着の問題を心配しなくてもいいってことね。愛着の絆がうまく結べていない子供にとっては、叱ることは解決策にはならないわ。逆に、叱って行動がなおるような子であれば、愛着の問題を心配する必要はないと言っていいでしょう。」
ラン「叱りたくないのに、つい叱ってしまうことってあるわよね。特に私たちが忙しくて時間に追われているとき、子供たちを叱ってしまうことが多いの。それに、周りの目が気になって、親としての責任を感じたりすると、余計に叱ってしまうわ。」
リン「そうよね、私たち自身がストレスを感じているときに、子供たちに対してもそのストレスが伝わってしまうの。でも、その“とりあえず叱る”っていうのは、子供を混乱させるだけで、問題を解決しないのよね。」
ラン「その通りね。子供の行動を叱りそうになったときは、まず自分自身の感情にフォーカスして、なぜその行動が問題だと感じるのか考えてみることが大切よ。自分の気持ちに気づけば、子供への伝え方も変わってくるものね。」
リン「愛着の絆がしっかりしている子供は、叱られてもダメージを受けないわ。安心基地があるから、指摘されたことを受け入れて、行動を正す意欲がわくのよ。」
ラン「でも、愛着の問題を抱えている子供たちは、自分の感情がわからないから、叱られても混乱するだけなの。何を叱られているのかも理解できないことが多いわ。だから、子供の感情を察知して、それを言葉にして伝えることが大切なの。」
リン「叱る前に、子供の気持ちを確認することで、子供は自分の感情に気づき、学ぶことができるわ。そうすることで、安心・安全の絆が育まれていくのよ。」
ラン「でも、叱らないことがいいというわけでもないのよね。愛着の問題を抱える子供は、叱られないことをいいことに、行動をエスカレートさせてしまうわ。」
リン「ええ、叱られない状況を探して、行動をエスカレートさせるの。そして、親や周囲の大人を支配するようになってしまうのよ。」
ラン「叱られても好き勝手しても、叱られずにいると、子供は自分が上だと思い込んでしまうの。それで、自分を叱れない相手を見下してしまうのよね。」
リン「そうなのよ。いつの間にか、子供が親や周囲の大人を支配するようになってしまう。それは、子供にとっても、大人にとっても健全な関係とは言えないわ。」