親は子供に対して真剣に思いやりを持って話しているつもりでも、子供は親の言葉を受け入れなかったり、親の言いたいことが理解できなかったり、親の言葉に反発したり……することがよくあります。なぜ?
子育てにおいて、親の言葉は子供の成長に大きな影響を与えます。親の言葉は子供にとって想像以上に強い印象を残し、何気なく言った言葉や悪気なく使っている言葉が、子供の好奇心ややる気を奪ってしまったり、子供の自信や自尊心を傷つけてしまったりすることもあります。親として、言葉が子供にもたらす影響を知ることが大切です。
子供に言ってはいけないNGワード1「ダメ!」
子供が危険なことをしているときや、触ってほしくないものに手を出しているときなど、さまざまな場面で子供に対して「ダメ」と言うことがあります。
子供に「ダメ」と言うと、子供は「行動が制限された」と感じて不快になり、行動をやめるどころか、泣いたり、反論したり……と反発することが多いです。 親がやめてほしいと思う行動でも、危険でなければ、子供にとっては成長のために必要な行動もあります。子供の行動を「ダメ」と言って止めてしまうと、子供の興味や好奇心を失わせてしまうことになりかねません。
そこで、どうしてもしてほしくないことをしているときは、「やりたかったんだね」と子供の気持ちを受け止めた上で、「でも、これはママの大事なものだから」とやめてほしい理由を簡潔に伝えましょう。「危ないからママと一緒にやってみよう」「ママの手帳は大事なものだからダメだけど、このノートなら大丈夫だよ」など、「ダメ」と言って行動を止めるのではなく、「何をしてもいいのか」を教えてあげると、子供は理解して協力してくれることができます。
子供に言ってはいけないNGワード2「早くしなさい!」
「早く」「急いで」と言われると、子供は考える時間がなくなって、とにかく親に言われたことを済ませようとします。考える力が養われないので勉強も集中できず、その状態が続くと、自分で考えて行動する力が育ちません。
子供に「早く」「急いで」と言うのではなく、以下のように伝えると効果的です。 「早く朝ごはんを食べないと、学校に遅れちゃうよ」 なぜ急がなければいけないのかを一緒に伝えると、子供は行動の目的を理解できます。 「早く準備して!」ではなく「靴下をはいて」 いろいろな行動を一気に言われると、子供はどこから手をつけていいかわかりません。一つずつ具体的に指示してあげると、子供はスムーズに行動できます。 「7時40分に家を出るから、7時半までに朝ごはんを食べ終わろう」 「早く!」「急いで!」だと、子供にはどれくらいの時間があるのかが伝わりません。時間を具体的に伝えると、子供は時間の感覚が身につきやすくなり、将来的に自分で計画を立てて動けるようになります。
「早く!」「急いで!」と言われると、子供は自分のペースが認められないと感じてしまいます。まずは、子供のペースを尊重し、子供が自分の意思で行動できるようにサポートしましょう。
子供に言ってはいけないNGワード3「捨てちゃうよ」
子供に片付けをさせるために「捨てちゃうよ」と言っても、効果がないどころか、逆効果になります。子供はすぐに、ママが本当に捨てることはないと気づいてしまいます。そのうち、ママの言うことを信じなくなってしまいます。
「捨てちゃうよ」だけでなく、「〇〇しないと、✖✖に連れて行ってあげないよ」や「〇〇しないなら、もうゲームは禁止」など、実行しない脅しは、子育てにおいてよく使われる手段です。しかし、これらの言葉は、子供に言うことを聞かせる効果は薄くなります。
子供は、言葉ではなく、実際に起こったことから学びます。言葉と行動が一致しないと、子供は親の言うことを信用しなくなります。「捨てちゃうよ」と言うよりは、「夕方まで預かる」など、小さな約束を守ることで、子供に教えましょう。おもちゃがない時間を体験することで、子供は、「ママの言うことは本当だ」と感じ、「言うことを聞くべきだ」と思うようになります。
子供に言ってはいけないNGワード4「ちょっと待って」
大人は、1日の時間を有効に使おうとして、仕事や家事を「タスク」としてこなそうとします。特に仕事をしている人は、子供の「聞いて」を「今は邪魔だ」と感じて、「ちょっと待って」と言ってしまうことがあります。
しかし、「聞いて聞いて」と言ってくるときは、子供の心が揺れ動いているときです。親の反応や共感がないと、子供の心は傷つきます。子供は、親に話を聞いてもらうことで、自分の感情を整理したり、安心したりします。
子供の「聞いて聞いて」が始まったら、できるだけ家事や仕事を一時中断して「聞く態度」を見せましょう。子供の目を見て、身を寄せて、相槌をしながら聞けば、子供は親が自分に関心を持ってくれていると感じます。子供は、話の内容よりも、「親が自分にちゃんと向き合ってくれている」という安心感を求めています。
「ねえねえ、聞いて」は、子供の考えや感情を知る貴重な機会です。親子のコミュニケーションを大切にしましょう。
子供に言ってはいけないNGワード5「お化けがくるよ」
子供に何かをさせたいときに「〇〇しないとお化け(鬼)が来るよ」と言っても、効果は逆効果です。最初は怖がって従うかもしれませんが、そのうちお化けや鬼が子供のトラウマになってしまいます。子供は、お化けや鬼が怖いと思うと、寝るときやトイレに行くときに不安になったり、ママにべったりになったりします。その結果、子供だけでなく、ママも困ってしまいます。
「お化けがくるよ」は、できなかったときのペナルティを伝えることで、子供を動かそうとする方法です。しかし、このような否定的な言葉ではなく、「8時におふとんに入れたら、絵本を1冊読んであげるよ」「今、お着がえができたら、すぐに公園に連れて行ってあげるね」など、できたときのボーナスを伝えることで、子供をやる気にさせましょう。将来的にも良い影響を与える「ボーナスを伝える」方法の方が、おすすめです。