頭のいい子が家でやっている”幼児期のある習慣”とは?

 子育ての悩みって尽きないものですよね。特に教育に関しては、多くの親御さんが頭を悩ませています。「うちの子をどうやって賢く育てよう?」「他の子に遅れを取らせたくない」。そんな思いから、幼い頃から習い事漬けにしてしまう傾向が近年強まっています。

でも、ちょっと立ち止まって考えてみましょう。本当の「頭のいい子」って何でしょうか?

 それは単に知識をたくさん詰め込んだ子ではありません。自分で考え、学ぶことを楽しめる子。そんな子こそが、真の意味で「頭がいい」と言えるのです。

 最近の傾向として、少子化や共働き家庭の増加により、子ども一人当たりの教育費が増加しています。特にひとりっ子の場合、親の期待が大きくなりすぎて、「うちの子は絶対に失敗できない」という強迫観念に陥りがちです。その結果、幼稚園児なのに週5日で毎日違う習い事、なんてスケジュールを組んでしまう親も珍しくありません。

 確かに、そうやって詰め込めば、ある程度の「学力」は身につくでしょ う。でも、それって本当に子どものためになっているのでしょうか?

 実は、子どもの脳の発達にとって最も重要なのは、家庭生活そのものなのです。幼少期には「からだの脳」が発達し、小学生になると「おりこうさんの脳」が本格的に育ち始めます。さらに、「こころの脳」も少しずつ成長していきます。

 この脳の発達に大きな影響を与えるのが、毎日の家庭生活です。親の言葉かけ、表情、物事の捉え方、子どもとの接し方。これらが、学習塾や習い事よりもずっと大きな影響を与えるのです。

 ここで大切なのが、「学力」と「学習力」の違いです。「学力」は、いわゆる試験の点数や覚えた知識の量。一方、「学習力」は自分で考え、興味を持ったことを楽しく学んでいく力のこと。この「学習力」こそが、長い目で見たときに子どもの成長を支える重要な力なのです。

 例えば、漢字の勉強。ただドリルで書いて覚えるのは「学力」を高める方法です。でも、その漢字にまつわる面白い話を調べたり、その漢字を使った言葉遊びをしたりするのは「学習力」を育てる方法。どっちが楽しそうですか?どっちの方が、子どもの興味を引き出せそうですか?

 こんな風に、家庭での学習を工夫することで、子どもの「学習力」を伸ばすことができるのです。例えば、「本」という漢字を学ぶとき、こんな会話をしてみるのはどうでしょう。

親:「本って漢字、木に似てるよね。なんでだと思う?」
子:「うーん、本のページが木の葉っぱみたいだから?」
親:「なるほど!面白い考えだね。実は昔、木に文字を書いてたんだって。」
子:「へえ、本当?どんな風に書いてたの?」

 こんな風に、一つの漢字からどんどん話を広げていく。これが「学習力」を育てる秘訣なのです。

 じゃあ、習い事はまったく必要ないのか?そんなことはありません。ただし、選び方が重要です。おすすめは、「親が一緒に楽しめるもの」を基準にすること。例えば、音楽好きな親子ならピアノ、スポーツ好きならスイミングといった具合です。

 親子で一緒に楽しむ中で、子どもは自然と「もっと上手くなりたい」という気持ちを持つようになります。これは習い事に限らず、親の趣味でも同じことが言えます。釣りが趣味のお父さんが、幼い頃から息子を海に連れて行っていたら、その子は魚や海の生き物に興味を持ち、大学では水産学部に進学したという例もあります。

 ただし、気をつけなければいけないのは、親が熱中しすぎないこと。特に、スポーツなどで親がコーチになっている場合、自分の子どもに厳しくなりすぎてしまうことがあります。「お前のせいでチームが負けた」なんて叱責をすれば、子どもの自信を奪ってしまいます。

 結局のところ、子育てで一番大切なのは、親子で楽しい時間を過ごすこと。それが子どもの「学習力」を育て、将来の成長につながるのです。

 さて、ここで多くの親御さんが悩むのが、「子どもが自分から始めた習い事を、飽きたからといってすぐに辞めさせていいの?」ということ。結論から言えば、やる気がなくなったらスパッと辞めさせるのが正解です。

 子どもは好奇心旺盛ですから、何にでもすぐ「やりたい!」と言います。でも、それをすぐに鵜呑みにしてはいけません。まずは体験教室などで様子を見て、本当に楽しんでいるか、向いているかをよく観察しましょう。

 そして、始めるなら無理のないスケジュールで。幼児なら夜8時まで、小学生なら夜9時までには寝られるようにするのが理想的です。

 ただし、忘れてはいけないのは、習い事の時間が増えれば増えるほど、家庭で過ごす時間は減るということ。本当にその習い事が、家庭で過ごす時間よりも大切なのか、よく考える必要があります。

 特に注意が必要なのは、親の期待が大きすぎる場合です。「もうちょっと頑張れば、将来きっと大成功する!」なんて考えるのは、賭け事と同じです。子どもに過度な期待を背負わせるのは避けましょう。

 子どもの集中力を育てるのに最適なのは、実は「お手伝い」です。例えば、食事の準備を手伝ってもらう。最初は「お皿を並べる」だけでもOK。徐々に「サラダを作る」「お茶を入れる」といった具合に難易度を上げていきます。

 これは子どもにとって立派な「プロジェクト管理」です。目標設定、計画立案、実行、そして評価。これらの経験を積み重ねることで、子どもは自然と集中力を身につけていきます。しかも、「役に立てた」という達成感も味わえるので、自己肯定感の向上にもつながります。

 読書の習慣も子どもの脳にとてもいい影響を与えます。絵本の読み聞かせから始めて、徐々に文字の多い本へ移行していくのがいいでしょう。読み聞かせの際は、「この後どうなると思う?」「主人公はどんな気持ちかな?」といった質問を投げかけてみてください。これによって、子どもの想像力や共感性が育ちます。

 家族での会話も子どもの成長に大きな影響を与えます。特に、食事の時間は貴重な機会です。テレビを消して、家族で今日あったことを話し合う。子どもの話をしっかり聞いて、適切なコメントや質問をする。これが、子どもの言語能力や思考力を育てます。

 外遊びの重要性も忘れてはいけません。外遊びは、体力づくりだけでなく、創造力や問題解決能力も育てます。例えば、木の枝を使って秘密基地を作る。これは立派な「エンジニアリング」です。どうすれば丈夫な基地が作れるか、考えて試行錯誤する。これが、将来の「学習力」につながるのです。

 ここで大切なのは、親が「見守る」姿勢です。すぐに口を出したり、手を貸したりするのではなく、子どもが自分で考え、行動する機会を与えることが重要です。もちろん、危険なことはきちんと止めますが、多少の失敗は成長の糧になります。

 子どもの「なぜ?」「どうして?」という質問にも、できるだけ丁寧に答えてあげましょう。これらの質問は、子どもの好奇心の表れです。分からないことがあれば、「一緒に調べてみよう」と提案するのもいいですね。そうやって一緒に学ぶ姿勢を見せることで、子どもの「学習力」は更に育っていきます。

 最後に、子どもの努力をきちんと認めることの大切さについても触れておきましょう。結果だけでなく、プロセスを褒めることが重要です。「100点取れてすごい!」ではなく、「毎日コツコツ勉強して、よく頑張ったね」といった具合です。こうすることで、子どもは「努力すれば報われる」という感覚を身につけます。

 このように、「頭のいい子」を育てるのに必要なのは、特別なプログラムや高額な教材ではありません。日々の生活の中で、子どもの好奇心を大切にし、様々な経験を積ませること。そして何より、家族との温かい時間を過ごすこと。それこそが、子どもの可能性を最大限に引き出す秘訣なのです。

 子育ては長い道のりです。一喜一憂せず、子どもの成長を温かく見守りながら、親子で楽しい時間を過ごしていけたら素敵ですね。そんな日々の積み重ねが、きっと子どもの「学習力」を育て、真の意味で「頭のいい子」に育てていくはずです。

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