「すごい! 天才じゃないの!?」
我が子を褒めたあと、ふと我に返って心配になることはありませんか?
「こんなに褒めてばかりで、将来わがままな子にならないかしら?」
「打たれ弱くて、勘違いしたまま大人になったらどうしよう……」
最近は育児書やSNSで「自己肯定感が大事」と耳にタコができるほど聞きますよね。でも、その一方で**「自己肯定感が高いことによるデメリット」**を心配されるお父さん、お母さんがとても増えています。
結論から言いますね。
**本物の自己肯定感が高いことに、デメリットは一つもありません。**
もし「自己肯定感が高い子」の中に「わがままで扱いにくい子」がいるとしたら、それは**「自己肯定感」と「プライド(万能感)」を履き違えているケース**がほとんどです。
この記事では、多くの親御さんが誤解している「危険な自己肯定感(偽物)」と「本来の自己肯定感(本物)」の違いを明確にし、誰からも愛される強い心を育むための具体的な方法をお伝えします。
毎日の声かけ一つで、お子さんの未来は大きく変わりますよ。
「自己肯定感が高い」の誤解!デメリットだと思われる正体とは?
まず、みなさんが検索で一番気になっている「デメリット」について深掘りしましょう。一般的に「自己肯定感が高すぎる」と思われている子供には、以下のような特徴が見られることがあります。
* **自分の非を認められない(謝れない)**
* **周囲を見下すような発言をする**
* **挫折するとすぐに立ち直れない**
* **「自分は特別」だと思っていて協調性がない**
これだけ見ると、「うわぁ、絶対こうなってほしくない……」と思いますよね。これが、親御さんが恐れている「デメリット」の正体です。
しかし、**心理学や教育の専門的な視点で見ると、これらは「自己肯定感が高い」状態ではありません。**
むしろ逆で、**「自己肯定感が低い(不安定な)ため、自分を大きく見せようと必死になっている状態」**なのです。これを専門的には「肥大化した自尊心(ダニング=クルーガー効果に近い状態)」や「自己愛」と呼びます。
本当の意味で自己肯定感が高い子は、自分を肯定できているからこそ、他人のことも肯定できます。「自分はOK、あなたもOK」というスタンスなので、わがままや攻撃的になることはありません。
つまり、心配されているデメリットは**「自己肯定感が高いこと」の弊害ではなく、「間違った高め方をしてしまった」結果**なのです。
危険信号!「わがまま(偽物の自信)」と「本物の自己肯定感」の違い
では、どうやって「危険な状態」と「健全な状態」を見分ければいいのでしょうか。ここが一番重要なポイントです。
この2つは似て非なるものです。わかりやすく表にしてみました。
1. 失敗したときの反応
* **偽物の自信(わがまま):** 「自分は悪くない」「あの子のせいだ」と他人のせいにしたり、隠したりします。失敗=自分の価値がなくなること、と思っているからです。
* **本物の自己肯定感:** 「今回は失敗したけど、次はどうすればいいかな」と考えられます。失敗しても「自分の人間としての価値」は変わらないと知っているからです。
2. 他人との比較
* **偽物の自信:** 常に「誰かより上か下か」を気にします。「〇〇ちゃんより自分のほうがすごい」と言うことで安心感を得ます。
* **本物の自己肯定感:** 「昨日の自分」と比べます。他人が褒められているときも、素直に「すごいね」と言えます。
3. 親への態度
* **偽物の自信:** 親の顔色を伺ったり、逆に親を召使いのように扱ったりして試し行動をします。
* **本物の自己肯定感:** 親に対して安心感を持っているので、甘えるときは甘え、自分の意見も素直に言えます。
親御さんが恐れている「打たれ弱い」「天狗になる」というのは、上の**「偽物の自信」**の状態です。これは、心のコップに穴が開いているのに、無理やり水を注ぎ続けているようなもの。どれだけ褒めても満たされず、もっともっとと要求(わがまま)がエスカレートしてしまいます。
なぜ「勘違い」が起きる?親が陥りがちな3つのNG行動
では、なぜ「偽物の自信」が育ってしまうのでしょうか?
実は、良かれと思ってやっている「褒め方」に落とし穴があることが多いのです。
NG行動①:「結果」ばかりを褒める
「テストで100点とってすごい!」「かけっこで1番になって偉い!」
結果が出たときだけ全力で褒めていませんか?
これを続けると、子供は**「1番じゃない自分には価値がない」「失敗したら愛されない」**という強迫観念を持つようになります。これが、失敗を恐れ、虚勢を張る原因になります。これを「条件付きの愛」と呼びます。
NG行動②:他者と比較して持ち上げる
「〇〇ちゃんはできなかったけど、あなたはできてすごいね」
自信をつけさせようとして、誰かを下げて褒めるのは一番の悪手です。
子供は「人を見下すことで自信を保つ」という歪んだ回路を身につけてしまいます。これが、将来「嫌われるマウンティング気質」を作る原因になります。
NG行動③:なんでもかんでも「すごい」と言う
子供が適当に描いた絵や、当たり前の行動に対して、心も込めずに「すごいすごい」と言い続けるのも危険です。
子供は敏感なので「適当にやっても褒められるんだ」と学習し、努力をしなくなります。そして、社会に出たときに「誰も褒めてくれない」という現実に直面し、ポキっと心が折れてしまうのです。
れで解決!「愛される自信」を育む魔法の声かけ
ここまで読んで、「もしかして、今まで間違ってたかも……」と不安になった方もいるかもしれません。でも、大丈夫です。今日から声かけを少し変えるだけで、子供の自己肯定感は健全な方向へ伸びていきます。
目指すのは、**「何かができても、できなくても、あなたは大事な存在だよ」**というメッセージを伝えることです。
1. 「結果」ではなく「プロセス(過程)」を認める
100点をとったとき、「100点ですごい」ではなく、
**「毎日コツコツ計算ドリルを頑張ってたもんね。努力が実って嬉しいね」**
と声をかけてください。
もし結果が悪くても、
「最後まで諦めずに走ったのがかっこよかったよ」
と言われれば、子供は「頑張ること」自体に価値を感じ、次も挑戦できるようになります。
2. 「I(アイ)メッセージ」で感謝を伝える
評価(すごい、偉い)ばかりだと、子供は評価疲れを起こします。時には、親の感情(I=私)を伝えましょう。
* 「お手伝いしてくれて、**お母さんすごく助かったよ**」
* 「あなたが元気でいてくれて、**パパは幸せだよ**」
これは「能力」に対する褒め言葉ではなく、「存在」に対する承認です。これこそが、自己肯定感の根っこ(土台)になります。「役に立っている」「ここにいていいんだ」という感覚が、本当の自信を作ります。
. 失敗したときこそ「共感」の出番
子供が失敗して落ち込んでいるときや、癇癪を起こしているとき。
「そんなことで泣かないの!」と言いたくなるのをグッとこらえて、まずは共感します。
**「悔しかったね」「悲しかったね」**
一度気持ちを受け止められると、子供は「ダメな自分でも受け入れてもらえた」と安心します。この安心感があるからこそ、「じゃあ次はどうしよう?」と前を向けるのです。
これが、「わがまま」にならずに「自己肯定感」を高める最大の秘訣です。
まとめ:未来の我が子は「強くて優しい」
最後に、もう一度確認します。
**「自己肯定感が高い=わがまま」というのは誤解です。**
親御さんが「デメリットがあるのでは?」と心配するその心には、「子供に幸せになってほしい」「周りの人と上手くやっていってほしい」という深い愛情があるはずです。その愛情の注ぎ方を少しだけ調整してあげてください。
* **「条件付き」ではなく「まるごと」受け入れる。**
* **「すごい!」という評価だけでなく、「ありがとう」という感謝を増やす。**
* **失敗しても、あなたの価値は変わらないと伝え続ける。**
そうやって育まれた「本物の自己肯定感」を持つ子供は、決して天狗にはなりません。
自分を大切にできるから、お友達も大切にできる。
失敗しても、ニコッと笑って「また頑張るぞ」と言える。
そんな**「しなやかで強い心」**を持った大人へと成長していきます。
今日、お子さんが帰ってきたら、まずは一言。
「おかえり。今日もあなたが元気で、お母さんは嬉しいな」
そんな何気ない言葉から、最強の自己肯定感育てを始めてみませんか?
