「過去問を解かせてみたら、毎回最後の大問までたどり着けない」
「点数以前に、時間切れで終わっているのが気になる。でも、何と声をかければいいのかわからない」
中学3年生の秋は、過去問に取り組む家庭が増える時期です。そこで多くの親御さんがぶつかるのが、「実力はあるはずなのに、時間が足りない」「本番で焦って頭が真っ白になりそう」という悩みではないでしょうか。
ここで「もっと急いで解きなさい」と言ってしまうと、子どもはさらに焦り、雑なミスが増えてしまいます。時間配分は、気合いではなく**練習の手順**で身につけられるスキルです。
この記事では、親が準備できること、子どもと一緒に進める5つのステップ、そのまま使える声かけ例、チェックリストまでを紹介します。
過去問で時間が足りなくなる3つの原因
時間が足りないと、「うちの子は処理が遅いのでは」と心配になります。ただ、この時期の時間切れは、**学力ではなく時間の使い方に基準がない**ことが原因の場合が少なくありません。
– **原因1:各問題にかけてよい時間の目安がない**
→ どこで何分使うかを決めずに、前から順に解いている
– **原因2:1問に粘りすぎる**
→ 「ここまで来たら解きたい」と思い、10分以上使ってしまう
– **原因3:本番と違う条件で練習している**
→ 時間を計らない、途中で休む、解説を見ながら解くなど
どれも、練習方法を変えれば改善できる点です。子どもを責める必要はありません。
練習を始める前に、親が準備しておくこと
子どもに声をかける前に、親が次の3つを確認しておくとスムーズです。
1. 志望校(都道府県)の入試形式を確認する
教科ごとの試験時間、配点、大問の数は、地域や学校によって異なります。教育委員会や学校の公式案内、過去問題集の冒頭で確認してください。「数学は50分で大問5つ」のように、**子どもと同じ数字を共有できる状態**にしておくのがポイントです。
2. 過去問を解く日と時間を決める
10月なら、**週1〜2回、1教科ずつ**が現実的です。できれば、本番と同じ開始時刻に合わせた日を月に数回作ります。毎日やる必要はありません。解いたあとの振り返りに時間を使うほうが、効果は高くなります。
3. 道具をそろえる
– アナログのタイマー、または腕時計(本番では時計が使える会場が多いものの、持ち込み可否は必ず確認)
– 色の違うペン(後回しの印、見直しの印用)
– A4の振り返りシート(後述)
ステップ1:まず「本番と同じ条件」で1回解く
最初の1回は、点数を気にせず、**現在地を知るための測定**として行います。
– 試験時間をきっちり計る
– 途中で解説や参考書を見ない
– 休憩を入れない
– 机の上は本番と同じ(筆記用具と時計のみ)
親の役割は、タイマーを押して見守ることだけです。解いている最中に声をかけたり、様子をのぞき込んだりするのは控えましょう。
**声かけ例①(開始前)**
「今日は点数を取る日じゃなくて、どこで時間を使っているかを調べる日だよ。気楽にいこう」
ステップ2:「時間配分表」を子どもと一緒に作る
測定が終わったら、目標の時間配分を決めます。**親が決めるのではなく、子どもと一緒に決める**ことで、「やらされている感」が減ります。
たとえば、試験時間50分、大問5つの数学を例にすると、次のようになります(あくまで例です。実際の形式に合わせて調整してください)。
| 内容 | 目安時間 |
| 最初に全体を見渡す | 1分 |
| 大問1(小問集合) | 10分 |
| 大問2 | 8分 |
| 大問3 | 8分 |
| 大問4 | 9分 |
| 大問5 | 9分 |
| 見直し | 5分 |
ポイントは、**見直しの時間を最初から確保しておく**ことです。「時間が余ったら見直す」だと、ほとんどの場合、見直しの時間は残りません。
**声かけ例②(配分表を作るとき)**
「さっきの結果を見ると、大問3に15分かかっていたね。ここを10分にできたら、最後まで届きそうだけど、どう思う?」
ステップ3:「後回しルール」を決める
時間配分でいちばん効果が大きいのが、「**迷ったら飛ばす**」のルールです。根性で粘るのではなく、あらかじめ基準を決めておきます。
ルールの作り方(例)
– 1問に使えるのは、目安時間の**1.5倍まで**
– 超えそうになったら、問題番号に印(△)をつけて次へ進む
– 最後の見直し時間で、△の問題に戻る
– 戻る順番は「あと少しで解けそうな問題」から
これは「諦める」のではなく、**解ける問題から確実に得点するための作戦**です。そう伝えると、子どもも受け入れやすくなります。
**声かけ例③(ルールを伝えるとき)**
「わからない問題を飛ばすのは逃げじゃなくて、作戦だよ。入試は満点を取る試験じゃなくて、合格点を取る試験だからね」
ステップ4:「ラップタイム」を記録して振り返る
解き終わったら、点数だけでなく**時間の使い方**を振り返ります。おすすめは、次のような簡単なシートです。
– 大問ごとにかかった時間
– 目安との差(+3分、−2分など)
– 時間がかかった理由(計算ミスの修正、読み間違い、考え込みなど)
– 次に試すこと(1つだけ)
振り返りで大切なのは、**改善点を1つに絞る**ことです。あれもこれも直そうとすると続きません。
**声かけ例④(振り返りのとき)**
「今回いちばん時間を使ったのはどこだった? そこで何が起きてたのか、教えてくれる?」
**声かけ例⑤(できていた点を伝える)**
「大問1は目安より2分早く終わってるね。ここが安定してるのは大きな強みだよ」
親が先に「ここがダメだった」と指摘するより、**子ども自身に説明させる**ほうが、気づきが定着します。
ステップ5:焦ったときの「リセット手順」を決めておく
本番で焦るのは、誰にでも起きることです。「落ち着きなさい」と言われても、落ち着けないのが普通です。そこで、**焦ったときにやる動作**を事前に決めておきます。
リセット手順の例(10秒)
1. ペンを置く
2. 息をゆっくり吐く(吐くほうを長めに)
3. 問題文の「聞かれていること」に線を引く
4. 解ける小問から再開する
これを練習のときから毎回試しておくと、本番でも自然に出てきます。
**声かけ例⑥(練習前)**
「焦ったときは、ペンを置いて、ゆっくり息を吐く。それから解ける問題に戻る。この流れを一緒に練習しておこうか」
親がやらないほうがいいこと
良かれと思ってやりがちですが、逆効果になりやすい行動もあります。責めるためではなく、**避けておくと楽になること**として参考にしてください。
– 解いている最中の「まだ?」「早くしなさい」
– 点数だけを見て「前より下がったね」と言う
– 他の子や兄弟姉妹との比較
– 間違えた問題を、親が長々と解説する
NGになりやすい言い方と、言い換え例を整理しておきます。
| ついやってしまう言い方 | 言い換え例 |
| 「もっと早く解きなさい」 | 「どこなら短くできそうかな?」 |
| 「なんでここで時間かかるの?」 | 「ここ、何を考えてたのか教えて」 |
| 「本番、大丈夫なの?」 | 「本番までに試せる練習、あと何回できそう?」 |
**声かけ例⑦(結果が思わしくなかった日)**
「今日はうまくいかなかったね。でも、今の時期に気づけたのはラッキーだよ。本番前に直せるからね」
今日から使えるチェックリスト
練習の前
– [ ] 志望校の試験時間・大問数・配点を確認した
– [ ] 解く日と開始時刻を決めた
– [ ] タイマーと筆記用具、振り返りシートを用意した
– [ ] 子どもに「今日は測定の日」と伝えた
練習中
– [ ] 本番と同じ時間で、途中で止めずに解いた
– [ ] 最初に全体を見渡す1分を取った
– [ ] 迷った問題に印をつけて、後回しにできた
– [ ] 見直しの時間を確保できた
練習のあと
– [ ] 大問ごとの所要時間を記録した
– [ ] 時間がかかった原因を、子ども自身が説明した
– [ ] 次に試すことを1つだけ決めた
– [ ] できていた点を言葉にして伝えた
すべて完璧にできなくても大丈夫です。**3つ以上チェックが入れば十分**、くらいの気持ちで始めてみてください。
まとめ:時間配分は「練習で身につくスキル」
– 時間切れの原因は、学力ではなく**時間の使い方の基準がない**ことが多い
– 本番と同じ条件で測り、**時間配分表**と**後回しルール**を決める
– 点数より**ラップタイムの振り返り**を重視し、改善点は1つに絞る
– 焦ったときの**リセット手順**を練習から習慣にしておく
– 親は、見守り役とタイマー係に徹し、**質問で子どもの気づきを引き出す**
入試本番まで、まだ時間は残っています。今週末に、1教科だけ試してみてください。
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