「三者面談で、志望校には内申点が少し足りないと言われた」
「本人は焦っている様子がないのに、親ばかりが不安になる」
「何か言えば言い返され、言わなければ時間だけが過ぎていく」
中学3年生の秋、こうした悩みを抱える保護者の方は少なくありません。責めたいわけではないのに、つい「もっと勉強しなさい」と言ってしまい、あとで自己嫌悪になることもあるでしょう。
先にお伝えしておくと、内申点は今から何も変えられないものではありません。ただし、地域や学校によって、どの学期の成績がどれだけ使われるかが違います。そのため「やみくもに頑張る」より「何を上げるか決めて動く」ほうが、はるかに効率的です。
この記事では、親が今日から使える声かけ例とチェックリストを交えて、内申点の立て直し方を3つのステップで解説します。
まず確認したいこと:内申点は「どこまで変えられるか」を知る
立て直しの前に、親子で現状を正確に知ることが出発点です。ここが曖昧なままだと、頑張る方向がずれてしまいます。
確認したいのは次の3点です。
– **志望校の入試で、内申点がどう使われるか**(中2・中3のどの成績を何倍で計算するか、実技教科の比重など)
– **今学期の成績がいつ確定し、いつ提出されるか**(2学期末の成績を使う地域が多いですが、学校や地域で異なります)
– **入試全体での内申点の比重**(内申点と当日点の配分は、学校や制度によって差があります)
この情報は、都道府県の入試要項や学校説明会の資料、担任の先生から確認できます。
> 【声かけ例①】
> 「内申のことで責めたいわけじゃないの。ただ、志望校の入試で内申がどう使われるのか、一緒に整理してみない?」
「足りない」という言葉は、親子ともに重く感じるものです。まず事実を並べる姿勢を見せるだけで、会話の空気はやわらぎます。
立て直し方①:現状を「見える化」して、上げる教科を絞る
最初のステップは、全教科を頑張らせることではありません。**上がりやすい教科を2〜3つに絞る**ことです。
進め方
1. 直近の通知表(評定)を机に出し、教科ごとに「5・4・3・2」を書き出す
2. 志望校の基準に対して、あと何ポイント足りないかを計算する
3. 「あと1上げれば届きそうな教科」に印をつける
4. その中から、2学期に力を入れる教科を2〜3つ選ぶ
たとえば、評定が「3」の教科が複数あるなら、「3→4」を目指せそうな教科を優先します。「4→5」より「3→4」のほうが、取り組む内容が具体的で、成果も出やすいことが多いです。
実技教科(音楽・美術・保健体育・技術家庭)は、入試で比重が高く設定される地域もあります。提出物や授業での取り組みが評価に反映されやすいため、見落とさないようにしましょう。
> 【声かけ例②】
> 「全部を上げるのは大変だから、まず1つだけ選ぼう。あと1つ上げたら届きそうな教科はどれだと思う?」
> 【声かけ例③】
> 「パパ(ママ)の見立てだと、この教科が上がると大きいと思うんだけど、あなたはどう感じる?」
ポイントは、**親が決めず、子どもに選ばせること**です。自分で選んだ目標は、人から与えられた目標より行動につながりやすくなります。
立て直し方②:定期テスト以外の「日常の評価」を整える
内申点は、定期テストの点数だけで決まるわけではありません。現在の学習評価は、一般に次の3つの観点で行われます。
– 知識・技能
– 思考・判断・表現
– 主体的に学習に取り組む態度
3つ目の「主体的に学習に取り組む態度」は、**提出物、授業中の発言、ノートの取り方、課題への取り組み姿勢**などから評価されます。ここは、テストの点数以上に「今日から変えやすい部分」です。
今日からできる行動例
– 提出物の期限を、カレンダーやスマホのリマインダーに入れる
– 未提出のものがないか、教科ごとに確認する
– ノートは「板書+自分の気づき1行」を目標にする
– 授業中に1回は発言する、または質問に手を挙げる(難しければ、先生に授業後に質問する)
– ワークは「やった」だけでなく、間違えた問題に印をつけて提出する
提出物の未提出が1つあるだけで、評価が下がることがあります。逆に、遅れていた提出物を整えるだけで、評価が上がるケースもあります。
> 【声かけ例④】
> 「提出物で、まだ出せていないものはある? 責めないから、全部一緒に書き出してみようか」
> 【声かけ例⑤】
> 「先生に『評定を上げるために、今から何を頑張ればいいですか』って聞いてみるのも手だよ。聞きにくければ、聞き方を一緒に考えようか」
先生に直接質問することは、「やる気がある」という姿勢が伝わる点でも有効です。ただし、子どもが負担に感じる場合は無理に勧めず、親が学校に相談する形でも構いません。その場合は「評価の観点で、特に改善したい点を教えていただけますか」と、前向きな聞き方をすると、具体的な助言をもらいやすくなります。
立て直し方③:次の定期テストを「直し中心」で取りにいく
最後のステップは、次の定期テストです。ここで意識したいのは、勉強時間を増やすことではなく、**やり方を変える**ことです。
2週間前からの流れ(目安)
| 時期 | やること |
| 2週間前 | 試験範囲を確認し、教科ごとに「やること」を書き出す |
| 14〜8日前 | ワークを1周目。間違えた問題に印をつける |
| 7〜4日前 | 印のついた問題だけを解き直す(2周目) |
| 3〜1日前 | まだ間違える問題だけを、最終確認する |
多くの子が、ワークを1周して終わりにしてしまいます。しかし点数が伸びるのは、**間違えた問題をもう一度解けるようにした時**です。
そこで、親は「勉強しなさい」ではなく、**進め方を一緒に確認する役割**に回ります。
> 【声かけ例⑥】
> 「今日のワーク、どこまで進んだ? 間違えた問題には印をつけてあるかな?」
> 【声かけ例⑦】
> 「1日にやる量を決めよう。多すぎると続かないから、『これならできる』って量にしようか」
> 【声かけ例⑧】
> 「テスト前に、分からないところを1つだけ教えてくれる? 説明してくれたら、親も勉強になるから」
最後の声かけは、子どもに「教える側」を任せるものです。人に説明すると理解が整理されるため、学習効果が高まる方法として知られています。うまく説明できなくても、「どこで詰まったか」が分かれば十分です。
親がやりがちな「逆効果の声かけ」と言い換え
悪気はなくても、次のような言葉は子どものやる気を下げることがあります。
| 避けたい言葉 | 言い換え例 |
| 「内申足りないんだから、もっとやりなさい」 | 「あと何が変わると、届きそうかな?」 |
| 「提出物くらい、ちゃんと出しなさい」 | 「出せていないものを、一緒に確認しようか」 |
| 「なんでそんなに点が低いの?」 | 「今回、手応えがあったところはどこ?」 |
| 「お兄ちゃん(友達)はできたのに」 | 「前回より上がったところはどこかな?」 |
言い換えの共通点は、**責める質問を、状況を整理する質問に変えている**ことです。子どもは責められると身を守ろうとして、話をしなくなります。反対に、整理する質問には、考えて答えようとします。
もし内申点が届かなくても:選択肢を広げる視点
努力しても、志望校の基準に届かない可能性はあります。その場合に備えて、次の選択肢を親子で話しておくと、気持ちに余裕が生まれます。
– 内申点の比重が低い学校や、入試当日の点数を重視する学校を調べる
– 私立高校の併願や、推薦・一般入試の条件を確認する
– 公立高校でも、特色検査や面接など、評価方法が異なる制度がないか調べる
– 通信制・定時制・高専など、進路の幅を知っておく
志望校を下げるという話ではなく、**選択肢を持った状態で挑戦する**という考え方です。逃げ道があると分かっている子のほうが、落ち着いて目標に向かえることもあります。
【声かけ例⑨】
> 「第一志望を目指しつつ、他にどんな道があるかも一緒に見てみない? 選べる状態にしておくと、気持ちも楽になるよ」
今日からできる!内申点立て直しチェックリスト
まずは、できそうなものから1つ選んで取り組んでください。全部できなくても大丈夫です。
**【現状確認】**
– ☐ 志望校の入試で、内申点がどう計算されるか調べた
– ☐ 通知表の評定を、教科ごとに書き出した
– ☐ 志望校の基準に対して、あと何ポイント足りないか把握した
– ☐ 今学期の成績がいつ確定・提出されるか確認した
**【教科の絞り込み】**
– ☐ 「あと1上げれば届く」教科を2〜3つ選んだ
– ☐ 選んだ教科について、本人の意見を聞いた
**【日常の評価】**
– ☐ 未提出の課題・提出物をすべて書き出した
– ☐ 提出期限をカレンダーやスマホに登録した
– ☐ ノートに「自分の気づき」を1行書く習慣を始めた
– ☐ 授業中に1回は発言・質問する目標を立てた
– ☐ 担任や教科担当の先生に、評価の観点を聞いた(または相談した)
**【定期テスト】**
– ☐ テスト範囲を確認し、2週間前から計画を立てた
– ☐ ワークは間違えた問題に印をつけ、解き直している
– ☐ 1日の勉強量を、本人と一緒に決めた
**【親の関わり方】**
– ☐ 「勉強しなさい」を「進み具合の確認」に言い換えた
– ☐ 点数ではなく、前回より上がった点を見つけて伝えた
– ☐ 志望校以外の選択肢についても、一度話をした
まとめ:立て直しの鍵は「見える化」と「小さな一歩」
内申点を立て直すために、特別な才能や根性は必要ありません。必要なのは次の3つです。
1. **現状を数字で見える化し、上げる教科を絞る**
2. **提出物や授業態度など、日常の評価を整える**
3. **定期テストでは、間違えた問題の解き直しを中心にする**
そして親の役割は、監督することではなく、**整理を手伝い、小さな前進に気づいて伝えること**です。「勉強しなさい」を言わなくても、子どもが自分で動き出す土台は、こうした日々の関わりでつくられていきます。
受験期は、親も子も不安になる時期です。完璧を目指さず、今日できる1つから始めてみてください。
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2. **「勉強しなさい」と言わずに、子どもが自分から机に向かうコツを知りたい方へ。** 受験期の親子の会話を見直す、声かけの考え方を紹介しています。
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