「宿題やろうか?」
「無理」
「自転車の練習してみる?」
「無理無理、絶対無理」
……あぁ、またか。
この「無理」という言葉を聞くたびに、私の心の中で何かがプツンと切れる音がしていました。
もしかして、あなたも今、同じため息をついていませんか?
「やる前から諦めないでよ!」
「やってみなきゃわからないでしょ!」
そう言い返しては、さらに頑なになる子供の態度にイライラし、最後には自己嫌悪に陥る……。そんな負のループにハマっていたのは、他でもない、ほんの少し前の私です。
でも、大丈夫です。
あんなに「無理」が口癖だった私の息子が、ある「魔法の言葉」と接し方を変えただけで、驚くほど変わったんですから。
今日は、ネガティブ全開だった息子が、自分から「やってみる」と言えるようになるまでの実話と、そこで私たちが実践した**「具体的な言葉がけのノウハウ」**を包み隠さずお話しします。
少し長くなりますが、スマホ片手に、コーヒーでも飲みながら友達の話を聞くような気持ちで読んでみてください。読み終わる頃には、きっとお子さんの背中を優しく押してあげたくなるはずです。
我が家の日常は「無理」との戦いだった
私の息子(当時小学4年生)は、とにかく自己肯定感がお豆腐並みに崩れやすい子でした。
学校から帰ってきてランドセルを放り出し、宿題を広げた瞬間に第一声。
「うわ、これ無理。わかんない」
新しいスポーツの体験に行こうと誘えば、
「俺には無理だよ、運動神経悪いもん」
極めつけは、夕飯のお手伝いを頼んだ時ですら、
「皿割るかもしれないから無理」
もうね、**「無理」のバーゲンセール状態**なんですよ。
最初は私も優しく励ましていました。「大丈夫だよ」「〇〇くんならできるよ」って。
でも、毎日毎日、何を言っても反射的に「無理」と返されると、親としての自信も削られていくんですよね。
「なんでこの子はこんなに意気地がないんだろう?」
「私の育て方が間違っていたのかな?」
「甘やかして育ててしまったせい?」
夜、寝顔を見ながら、何度こっそり泣いたかわかりません。
子供の可能性を信じたいのに、子供自身が自分の可能性を全否定している。このジレンマは、本当に苦しいものでした。
当時の私は、息子の「無理」という言葉を、単なる「やる気のなさ」や「サボり」だと思っていました。だからこそ、「気合を入れさせなきゃ」「お尻を叩かなきゃ」と必死になっていたんです。
でも、それは**大きな間違い**でした。
—
「頑張れ」が逆効果? 息子の心の叫び
転機は、スクールカウンセラーの先生との何気ない雑談でした。
私の愚痴を聞いた先生は、穏やかにこう言ったんです。
「お母さん、息子さんの『無理』は、『やりたくない』じゃなくて、**『失敗するのが怖い』というSOS**かもしれませんよ」
ハッとしました。
息子は、サボりたかったわけじゃない。
**「失敗して傷つきたくない」「できない自分を見たくない」「お母さんをガッカリさせたくない」**
そんな恐怖心から自分を守るために、あらかじめ「無理」という予防線を張っていたのです。
「無理」と言っておけば、失敗しても「ほら、無理って言ったじゃん」と言い訳ができる。
「無理」と言っておけば、期待されずに済む。
そう、彼の「無理」は、**心の鎧(よろい)**だったんです。
それなのに私は、「頑張れ!」「できる!」と、無責任にその鎧を剥がそうとしていました。
泳げない子を無理やりプールに突き落として、「泳げばわかる!」と言っているようなものです。これでは、怖がって当然ですよね。
私がやるべきことは、「無理」を否定することじゃない。
**「失敗しても大丈夫だという安心感」**を与えることだったんです。
—
劇的に変わった「魔法の口癖」3ステップ
そこから私は、息子への言葉がけをガラリと変えることにしました。
私が実践して効果絶大だったのは、次の3つのステップを組み合わせた会話術です。
これ、本当に魔法のように効くので、ぜひスクショして明日から使ってみてください。
ステップ1:「無理」を全力で受け止める(共感の魔法)
以前の私:「無理じゃない! やってみなさい!」
↓
**今の私:「そっか、無理だと思っちゃうんだね」「難しそうだもんね」**
まずは、彼の「無理」という気持ちを否定せず、オウム返しで受け止めました。
これだけで、息子の表情が変わりました。「あ、お母さんは戦おうとしてない」と警戒心が解けるのがわかるんです。
「無理」と言われたら、心の中で(出たな、心の鎧!)と思いながら、表面上は穏やかに**「そっかー、そう思うんだね」**と寄り添います。
これが、彼の心を開く最初の鍵でした。
ステップ2:ハードルを地面スレスレまで下げる(分解の魔法)
次に使うのが、この魔法の言葉です。
**「全部は無理でも、ここだけならどう?」**
子供が「無理」と言う時、彼らは課題を「巨大な壁」として見ています。
例えば、宿題のプリント1枚全部を「壁」だと思っている。
だから私は、その壁を砕いて、またげるくらいの小石にしました。
私「このプリント全部は無理だよね。……じゃあ、**名前だけ書くのはどう?**」
息子「……名前だけなら、書けるけど」
私「じゃあ、名前だけ書いて終わりにしよっか!」
これ、嘘みたいですが本当の話です。
「名前だけ」とハードルを極限まで下げると、息子は鉛筆を握ります。
そして不思議なことに、名前を書くと、ついでに1問目くらいは解いてみようかな、という空気になるんです。
**「0か100か」ではなく、「0.1」を提案する。**
これが、動き出せない子の背中を押す最強のテクニックでした。
ステップ3:未来の可能性を示唆する(「まだ」の魔法)
そして、失敗した時や、どうしてもできなかった時。
「やっぱり無理だったじゃん!」と息子が投げやりになった時に使う言葉。
**「『まだ』できないだけだよ」**
これは、心理学でいう「成長マインドセット」を育てる言葉です。
「できない」と断定するのではなく、「今はまだ途中経過」だと伝える。
「今は『まだ』難しいね。でも、練習したらできるようになるかもね」
この「まだ」というたった2文字が、**「今の能力が全てではない」**という希望を子供に植え付けます。
—
「無理」連呼の息子に起きた変化
この3ステップを繰り返し実践して、3ヶ月ほど経った頃でしょうか。
ある日、苦手な算数の図形問題が出た時のことです。
以前なら即座に「無理! パス!」と叫んでいました。
私が横で何も言わずに見守っていると、息子は問題用紙を睨みつけながら、ボソッとこう言ったんです。
**「……全部は無理だけど、補助線引くくらいならできるかも」**
その瞬間、私の背筋がゾクッとしました。
(言った……! 自分でハードルを下げて、挑戦しようとしてる!)
「そうだね! 線引くだけやってみよう!」
私が興奮気味に言うと、息子は定規を取り出し、線を引きました。
すると、
「あ、ここ直角じゃん。……ってことは、こっちもわかるかも」
そうやって、ブツブツ言いながら、なんとその問題を最後まで解き切ってしまったのです。
解き終わった後の息子の顔。
あの、少し照れくさそうで、でも誇らしげなドヤ顔。
私は一生忘れないと思います。
「お母さん、俺、天才かもしれん」
「うんうん、天才だよ! すごいよ!」
二人でハイタッチをしたその手は、汗ばんでいて、とても温かかったです。
それからも「無理」という言葉が完全になくなったわけではありません。
でも、その意味が変わりました。
以前の「無理」は「拒絶」でしたが、今の「無理」は**「慎重になっているサイン」**。
だから彼が「無理」と言ったら、私は「そっか、じゃあどこまでならできる?」と聞きます。
すると彼は、「うーん、とりあえず準備だけなら」と、自分でスモールステップを見つけられるようになりました。
—
大人が変われば、子供の「世界」も変わる
この記事を読んでいるあなたは、きっと毎日すごく頑張っているお母さん、お父さんだと思います。
子供のためを思うからこそ、「無理」と言われると不安になるし、腹も立ちますよね。
でも、どうか自分を責めないでください。
そして、今日からほんの少しだけ、言葉のチョイスを変えてみてください。
子供が「無理」と言ったら、それは**「お母さん、ハードルが高すぎて怖いよ。低くして」**という合図です。
叱咤激励して高い壁を登らせようとするのではなく、
「そっかそっか」と隣に座り込んで、
「じゃあ、靴紐だけ結ぼっか」と笑いかける。
そんな**「ゆるい応援」**こそが、実は子供にとって一番の勇気になるのかもしれません。
最初はうまくいかないかもしれません。
私も何度も失敗しました。つい「早くしなさい!」と言ってしまってから、「あ、間違えた」と舌を出したことも数え切れません。
でも、親の言葉が変われば、子供の心に溜まっていく「自己肯定感の貯金」は確実に増えていきます。
今は「無理」ばかり言っているあの子も、心の中では「できるようになりたい」と必ず思っています。
その小さな種火を信じて、まずは**「そっか、無理かぁ」**という共感から始めてみませんか?
数ヶ月後、お子さんの口から「とりあえず、やってみるわ」という言葉が聞ける日を想像しながら。
私も、画面の向こうから、あなたの子育てを全力で応援しています。
さあ、今日はどんな「無理」が飛んでくるでしょうか?
ちょっとだけ余裕を持って、「はいはい、出ましたね」と心の中でニヤリと笑い返してやりましょう!

