夜の勉強机。中学2年生の子どもが図形の証明問題を前に、ノートを開いたまま止まっている。「何を書けばいいかわからない」「合同条件はわかるのに文がつながらない」と消しゴムを握ったまま動かない。親のあなたが「仮定と結論を確認しなさい」と声をかけても、子どもは「わかってるけど書けない」と小さく答えるだけ。証明の問題が出るたびに時間がかかり、結局途中で諦めてしまう…そんな光景が続いていませんか。
図形の証明が書けないのは、才能やセンスの問題ではありません。多くの子は「何がわかっていて、何を示したいのか」が整理できていないだけです。手本の証明を写す→穴埋めにする→自力で書く、という3ステップに、仮定を青・結論を赤で色分けするだけで、子どもは自分で文を組み立てられるようになります。今日の勉強時間からすぐ使える具体的な方法をまとめました。
中2で図形の証明が書けなくなる本当の理由
中学2年生で本格的に始まる図形の証明は、多くの子にとって最初の大きな壁です。特に多いつまずきは次の通りです。
– 合同条件や定理は覚えていても、文章にできない
– どこから書き始めればいいかわからない
– 途中で何を言おうとしているのかわからなくなる
– 「だから合同である」までの流れが途切れる
これらは「努力不足」ではありません。証明の文は「わかっていること(仮定)」から「示したいこと(結論)」へ、筋道を立ててつなげる作業です。この「出発点とゴール」が頭の中で整理できていないと、文が書けなくなります。ここで必要なのは、抽象的な説明を増やすことではなく、色分けと穴埋めで「見える化」することです。
「仮定と結論」を色分けする基本の考え方
ポイントは次の3つです。
1. 仮定(わかっていること)を青で印をつける
2. 結論(示したいこと)を赤で印をつける
3. 手本を写す→穴埋め→自力の順番で進める
この順番を守ると、子どもは「何を使って、どこに向かうのか」が明確になり、文が書きやすくなります。
準備するもの
– 数学のノートまたはルーズリーフ
– 青ペンと赤ペン(色鉛筆でも可)
– 教科書や問題集の手本となる証明
– タイマー(20分用)
具体的な進め方1:手本の証明を写しながら色分けする
まず、教科書や問題集の完全な証明を用意します。
1. 手本をノートに丁寧に写す。
2. 写しながら、仮定に当たる部分を青で線を引くか囲む。
3. 結論に当たる部分を赤で線を引くか囲む。
4. 「何がわかっていて、何を示したいのか」を声に出して確認する。
声かけ例1:
「何がわかっていて、何を示したい? わかっていることを青、示したいことを赤で線を引いてみよう」
声かけ例2:
「青で囲んだ部分がスタート、赤で囲んだ部分がゴールだよ。この2つを意識して写してみよう」
実際に手で写し、色を塗る動作が大切です。見るだけでは身につきにくいので、必ず手を動かします。
具体的な進め方2:穴埋め形式にしてつなぎを練習する
次に、写した証明を使って穴埋めを作ります。
1. 写した証明の中から、つなぎの言葉や理由の部分を空白にする。
2. 仮定(青)と結論(赤)はそのまま残す。
3. 空白を自分で埋めてみる。
例:
「△ABCと△DEFにおいて、
AB = DE(青:仮定)
∠B = ∠E(青:仮定)
BC = EF(青:仮定)
よって、△ABC ≡ △DEF(赤:結論)」
この「よって」の前に「2辺とその間の角がそれぞれ等しいので」などの理由を入れる練習をします。
声かけ例3:
「青の仮定から赤の結論へつなぐ言葉を入れてみよう。どんな理由を書けばつながるかな?」
声かけ例4:
「空白の部分に『〜なので』を入れて、青と赤をつなげてみて」
穴埋めにすることで、「理由を書く」感覚が身につきやすくなります。
具体的な進め方3:自力で書くステップへ移る
穴埋めがスムーズにできるようになったら、最後に自力で書きます。
1. 問題を読む。
2. 仮定を青、結論を赤で先に印をつける。
3. 青から赤へどうつなぐかを考えながら書く。
声かけ例5:
「まず何がわかっていて、何を示したい? 青と赤で印をつけてから書き始めよう」
声かけ例6:
「青の仮定を全部書いてから、赤の結論に向かって理由をつけていこう」
最初は短くていいので、「仮定→理由→結論」の流れを完成させることを目標にします。
実際の勉強時間での進め方(20分バージョン)
1. 最初の5分:手本を写しながら青と赤で色分けする
2. 次の8分:穴埋め形式でつなぎの言葉を埋める
3. 最後の7分:同じような問題を自力で書いてみる
この時間配分を決めておくと、集中しやすく、達成感が残りやすくなります。
声かけ例7(始めるとき):
「今日はまず手本を写して、仮定を青、結論を赤で色分けしよう」
声かけ例8(確認のとき):
「書けたら『何がわかっていて、何を示したい?』をもう一度確認してみよう」
コピーしてすぐ使えるチェックリスト
以下をそのままコピーして、数学のノートの表紙や勉強机の近くに貼って使ってください。
□ 青ペンと赤ペンを用意した
□ 仮定(わかっていること)を青で印をつけることにした
□ 結論(示したいこと)を赤で印をつけることにした
□ 声かけを「何がわかっていて、何を示したい?」に統一した
□ 手本を写す→穴埋め→自力の順番で進めることにした
□ 1回の勉強を20分以内で区切り、色分けできた部分を具体的に認めることにした
□ 証明を書き終わったら青と赤の印を見直す習慣にした
本文中での関連する悩みへの自然な誘導
図形の証明が少し書けるようになってきたら、次に気になるのが「合同条件のどれを使えばいいか迷う」という点です。合同条件を整理して使う順番を決める方法については、別の記事で詳しくまとめていますので、後で読み返してみてください。
また、証明の前段階で「角度や辺の関係がすぐに見つからない」子も少なくありません。図形に書き込みをするときの色分けの工夫についても書いていますので、必要に応じて参考にしてみてください。
さらに、中2の図形全体を無理なく進めるための短時間復習ルーティンについてもまとめています。証明をクリアしたあとの定着に役立ちますので、合わせてどうぞ。
実践するときのポイントとよくある場面
– 子どもが「色分けが面倒」と言うとき
最初の1〜2問だけ色を使い、慣れてきたら必要なところだけ残す形に移行しても構いません。無理に全部色分けさせないのが続きやすいコツです。
– 穴埋めでも手が止まるとき
つなぎの言葉を選択肢で与えます。「〜なので」「したがって」「よって」などの中から選ばせると動きやすくなります。
– 自力で書く段階でまた書けなくなるとき
すぐに手本に戻らず、「青と赤の印だけ先につけてみよう」と小さく区切ります。スタートとゴールが明確になると再開しやすくなります。
この方法の意外なところは、証明なのに色ペンを使って印をつけたり、手本を丁寧に写したりする点です。頭の中だけで考えさせるのではなく、手を動かして仮定と結論を見える化するので、「何を書けばいいか」が具体的にわかりやすくなります。
図形の証明が「書ける」ようになると、子どもは自分で青と赤の印をつけ、文を組み立てられるようになります。親が「証明を書きなさい」と催促しなくても、ノートを開いて色ペンを手に取る姿が増えていきます。今日の宿題の時間に、まず青ペンと赤ペンを用意するところから始めてみてください。勉強しなさいが、少しずついらなくなっていきます。
