音読の効果は自律神経を整え科学的に証明された疲労回復法

 自律神経を整える新たな視点として「音読の力」がありますが、「音読が疲れを取り除く」という考えについてどう思いますか?(PR)

 信じられないと思うかもしれませんが、これは科学的に裏付けられた事実です。自律神経の研究の第一人者である小林弘幸氏の著書『1日1分で自律神経が整う おとなの音読』から、疲労回復や不眠改善に効果的な「大人向け」音読のテクニックを4つ紹介します。

音読の真価:子供だけの学習方法ではない

 「常に自分だけが疲れている」「寝ても疲れが取れない」「何となく体調が悪い」。これらはよく耳にする声です。このような問題を抱える人に推奨する健康法、それが音読です。

 音読と聞くと、「小学生が勉強するために行うもの」というイメージが強いかもしれません。しかし、音読によって声を出すこと、自分の声を聞くこと、リズムの良い自然な呼吸をすることは、意識的に自律神経を整え、疲労・不眠といった心身の不調を改善する非常に効果的な手段です。

 具体的な音読のテクニックを伝える前に、なぜ音読を強く推奨しているのか、その理由を説明させてください。

 2020年から続いたコロナ生活の影響で、多くの人が「声を出す」機会を失ってしまったことは、皆さんもご存じの通りです。

 これによって何が起きたかというと、うつ病の増加です。もちろん他の要因もありますが、「声を出す」という行為は、私たちが心身のバランスを保つために非常に重要な行為です。数年間この機会が失われれば、私たちの体は容易にバランスを崩してしまいます。

 「声を出さないだけで大げさじゃない?」と思うかもしれませんが、声は心と体のバロメーターの役割を果たしています。心と体が整っているときは、スムーズに話すことができ、乱れているときは不自然になります。そして、声を出さなければ、自分がバランスを崩していることに気づかず、徐々に平衡感覚を失ってしまうのです。

 私自身、コロナが終わった直後は、思うように声が出せず困惑しました。言葉の切れ味も悪く、息継ぎもうまくできませんでした。自分でも気づかないうちに、心身のバランスが乱れていたのです。

 コロナを通じて、「声を出す」ことが私たちの健康をどれほど支えているかを再確認しました。では、「声を出す」ことで、疲労や不眠、さらには体の不調全般を改善することができるのはなぜでしょうか。

疲労とだるさの原因:自律神経の乱れ

 疲労や体のだるさを感じる要因の1つに、「自律神経のバランスが崩れること」があります。「それならば自律神経のバランスを整えればいい」というわけですが、それがなかなか難しいのです。

 多くの方がご存じかもしれませんが、自律神経とは、心臓や腸、胃、血管などの臓器を「自律的」に動かすための神経のことです。「自律」という言葉通り、私たちの意思とは関係なく24時間休まず働いています。

 この自律神経には、体を興奮させる「交感神経」と、リラックスさせる「副交感神経」の2つがあります。日中、活発に活動している時には交感神経が働き、心拍数が増えたり、瞳孔が拡大したり、消化が抑えられたりします。

 逆に、夜になると副交感神経が働き、眠くなったり、心拍数が減ったり、消化が促進されたりします。これらの活動を私たちの意思でコントロールすることはできません。

 「眠くなろう!」と思って眠くなることはありませんよね。夜になって、食事を取って、お風呂に入ると、自然と副交感神経が作用して、眠くなるわけです。

 この、「自律的に」というのがなかなか厄介なところです。人間関係のストレスやプレッシャー、気圧など、何らかの影響で自律神経のバランスが乱れてしまうと、そのバランスを自分で取り戻すことはなかなか難しいからです。

 だからこそ、自律神経の乱れによって発生する疲労や不眠、なんとなくの不調などは、だらだらと長続きしやすいです。まして、コロナのように生活習慣を変えてしまう程のインパクトから以前のバランスを取り戻すまでには、相当な時間がかかるでしょう。

 「みんなと同じことをしているのに自分だけ疲れる」「寝ても寝ても疲れが抜けない」「病院に行くほどではないが、ずっと不調が続いている」という人は、自律神経がバランスを崩したまま戻らない状態に陥っている可能性が高いです。

音読による自律神経の整え方

 それでも「自力で」自律神経を整える方法は、いくつかあります。その中で最も簡単な方法が、音読です。

 音読によって自律神経が整う理由は大きく2つです。1つは、自分の声を聞くことで、客観的に自分のバランスを把握できるから。もう1つは、音読自体にリラックス効果があるからです。

 音読によって声を出し、自分の声を聞き、リズムのよい呼吸をすると、セロトニンという脳の興奮を抑えるホルモンが分泌され、自律神経がリラックス(副交感神経が優位な)状態へと切り替わります。

 自律神経がバランスを取る上では、興奮(交感神経が優位な)状態も必要ですが、とかく働きすぎ、ストレスを抱えすぎな現代人にとっては、このリラックス状態をどう意識的につくり出すかが極めて重要です。

 では、具体的に何を意識して文章を音読すればいいのでしょうか?これには大きく4つのコツがあります。

音読の4つのポイント

① まず、音読する前に、深呼吸をする

 音読の前に、深い呼吸でリラックスした状態をつくりましょう。コツは鼻から3秒吸い、口から6秒吐く「1:2」のリズムです。これを1分程度行うことで、副交感神経の働きが高まります。背筋を伸ばして、上を向いて行うとさらに効果的です。ぜひ音読する前にやってみましょう。

② ゆっくり読む

 次はいよいよ実際に音読していきます。3~5分程度で読み終わるような文章を用意して、普段よりもゆっくりと読みましょう。そうすることで、自然と呼吸が深くなり、リラックス状態をつくりやすくなります。

 最初のうちは、つっかえたり、読み間違えたりしてもかまいません。まずは声を出すことや、口を動かすこと自体を楽しんでいきましょう。まるで歌うように、言葉にリズムが出るとなおいいでしょう。

③ 口角を上げて大きな声で読む

 音読の際に意識してほしいのが、口の形です。口角を上げて読むよう意識しましょう。少し口角を上げるだけでも、副交感神経が刺激されます。口はできるだけ大きく開けて、一音一音はっきりと発音しましょう。少し大げさなくらいがちょうどいいです。また、周囲の迷惑にならない範囲で、できるだけ声も大きく出しましょう。

④ 感情を込めて読む

 自律神経を整えるための音読においては、泣ける話、クスッと笑える話、恋でドキドキする話など、できるだけいろいろな感情を込めやすい文が「いい文」です。ぜひ自分なりの感情を込めて読んでみてください。声や呼吸に自然な抑揚がつくだけでなく、ストレス値の減少にも効果的です。

 カラオケ好きの人ならわかるかもしれませんが、「歌ってスッキリした」という感覚は、これらの要素を自然と満たしているからなのです。

まとめ

音読の習慣で、身体を整える

 いかがでしょうか?コロナ渦を経て、以前より疲れを感じやすくなった人は多いように思います。コロナで「声を出す」機会がぱったりと途絶えてしまったことで、自分でも気づかないうちに、後戻りできないほど自律神経のバランスを崩してしまった人が増えたのでしょう。

 もし、「コロナ明けからずっと調子が悪い」「こんなに疲れやすかったっけ?」と感じているのなら、その不調は自律神経の乱れが原因の可能性が高いです。

 ぜひこの機会に、音読の習慣を試してみてください。きっと元気だった頃の自分を取り戻せるはずです。

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