「英単語は、声に出しながら何度も書けば覚えられる」
そう教わった親御さんは多いと思います。子どもが英単語を覚えられないと、つい「声に出して10回書いてみたら?」と言いたくなるかもしれません。
ところが、この方法で覚えられる子がい英単語を声に出して何度も書いているのに覚えられない。その原因は努力不足ではなく、勉強の手順かもしれません。小中学生が意味・発音・つづりを効率よく定着させる方法と、親の声かけ、今日から使える練習手順を解説します。る一方、時間をかけてもほとんど定着しない子もいます。
10回、20回と書いたのに、翌日の小テストでは思い出せない。ノートは埋まっているのに、意味を聞かれると答えられない。そんな状態です。
これは努力不足とは限りません。
問題なのは、声に出すことや書くことではなく、それだけで覚えようとしていることです。英単語を定着させるには、意味と音とつづりを結びつけ、自分の力で思い出す練習が欠かせません。
「声に出して書く」を作業にしないために、家庭で何を変えればいいのか。具体的に見ていきましょう。
英単語を声に出して書くだけでは覚えにくい
英単語を声に出しながら書く方法そのものが、間違っているわけではありません。
発音を確認しながら手を動かすことで、単語の音とつづりを結びつけやすくなる場合があります。特に、英語を習い始めた子にとっては、目で見るだけより取り組みやすいでしょう。
ただし、回数だけを決めると勉強が作業になりやすくなります。
たとえば、`important`を10回書く宿題があったとします。最初の1、2回は文字を意識していても、途中からは見本を横目で見ながら手を動かすだけになりがちです。
口では「インポータント」と言っていても、頭の中では夕食やゲームのことを考えているかもしれません。それでもノートはきれいに埋まるので、勉強したように見えます。
ここが落とし穴です。
英単語を覚えたかどうかは、何回書いたかではなく、見本を隠した状態で思い出せるかによって決まります。
「見ながら書ける」と「何も見ずに書ける」は違う
教科書や単語帳を見ながら写すと、正しく書けます。しかし、それは目の前の情報をそのまま書き移している状態です。
テストでは、見本がありません。
「重要な」という意味を見て、`important`を思い出す必要があります。あるいは英文の流れから必要な単語を選び、正しいつづりで書かなければなりません。
つまり、練習の途中にも「見ないで思い出す時間」が必要なのです。
5回書くなら、5回とも見ながら書くのではなく、1回確認したら隠して書く。間違えたらもう一度だけ確認し、再び隠して書く。このほうが、覚えられていない部分がはっきりします。
回数をこなすことが目的になってしまう
「英単語を10回ずつ書きなさい」と言われた子は、覚えることより早く終わらせることを優先しやすくなります。
これは、子どもが怠けているからではありません。回数という分かりやすいゴールを与えられれば、そこを目指すのは自然なことです。
親も、ノートが何ページ埋まったかは確認できます。一方、本当に覚えたかどうかを確かめるには、問題を出すなどの手間がかかります。そのため、家庭学習では「たくさん書いたから大丈夫」と判断しやすいのです。
見直したいのは、子どものやる気ではなく、勉強のゴールです。
「10回書く」から「何も見ずに1回答えられる」へ変えるだけでも、練習の中身はかなり変わります。
英単語は意味・音・つづりをセットで覚える
英単語には、少なくとも三つの要素があります。
– どんな意味か
– どう発音するか
– どうつづるか
書くことだけに集中すると、つづりは練習できても、意味や音との結びつきが弱くなることがあります。
たとえば、`Wednesday`を文字の並びとして何度も写しても、発音や「水曜日」という意味が結びついていなければ、実際の英文では使いにくいままです。
反対に、音だけ覚えても、テストで正しく書けるとは限りません。意味だけ分かっていても、英文を読んだときに気づけないことがあります。
三つを一度に完璧にする必要はありません。ただ、最後には意味、音、つづりがつながっている状態を目指します。
最初に意味と発音を確認する
いきなり書き始める前に、単語の意味と発音を確認します。
たとえば、`beautiful`なら次の順番です。
1. 「美しい」という意味を確認する
2. 教科書の音声などで発音を聞く
3. 音声をまねして言う
4. 単語を見ながら、つづりの特徴を確かめる
5. 見本を隠して書く
発音に自信がない親御さんが、無理にお手本を示す必要はありません。教科書のQRコードや学校指定の教材など、正しい音声を利用すれば十分です。
カタカナだけで覚えさせると、実際の発音との差が大きくなることがあります。カタカナは最初の手がかりとして使い、できるだけ音声も一緒に聞くようにしましょう。
つづりの「引っかかる場所」を見つける
単語を丸ごと何度も書くより、子どもが間違える場所を集中的に見たほうが効率的です。
たとえば、`because`を`becouse`と書いてしまうなら、毎回単語全体を10回書かせる必要はありません。間違えやすい`au`の部分に印をつけ、そこを意識してから書き直します。
`library`の途中が抜ける、`friend`の`ie`を逆にする、複数形の`s`を忘れるなど、引っかかる場所は子どもによって違います。
「全部覚えていない」と考えるのではなく、「どこで間違えたのか」を細かく見ることが大切です。
親が声をかけるなら、「なんでまた間違えたの?」ではなく、「どの部分が迷いやすかった?」と聞いてみてください。責める空気が減り、子ども自身も間違いを観察しやすくなります。
覚える時間より思い出す時間を増やす
英単語の練習では、単語帳を眺めたり、見本を写したりする時間が長くなりがちです。
しかし、覚えた内容を定着させるには、自分の頭から答えを取り出す練習も必要です。
おすすめは、短い確認テストを何度も挟むことです。
3語から5語ずつ小さくテストする
一度に20語を覚えようとすると、英語が苦手な子ほど負担を感じます。まずは3語から5語に区切りましょう。
5語を練習する場合は、次のように進めます。
1. 意味と発音を確認する
2. 見ながら1回書く
3. 単語を隠し、日本語だけを見て書く
4. 答え合わせをする
5. 間違えた単語だけ、もう一度確認する
6. 数分後に再テストする
正解した単語まで何度も書かせないのがポイントです。
すでに書ける単語に時間を使うより、間違えた単語に絞ったほうが短時間で終わります。勉強時間が減ると不安になるかもしれませんが、目的はノートを埋めることではありません。
10回書いて覚えられないより、2回しか書かなくても思い出せるほうが、学習としては前に進んでいます。
その日だけで終わらせない
練習直後に書けても、翌日には忘れていることがあります。これは珍しいことではありません。
一度で完璧に覚えようとするより、時間を空けて思い出す機会を作りましょう。
たとえば月曜日に覚えた単語なら、次のように確認します。
– 月曜日:意味と発音を確認し、見ないで書く
– 火曜日:短いテストをする
– 木曜日:間違えた単語だけ確認する
– 日曜日:もう一度まとめてテストする
毎回すべてを書き直す必要はありません。口頭で意味を答える、単語カードで確認する、親が日本語を言って子どもが英語を答えるといった方法でも構いません。
大事なのは、忘れかけた頃にもう一度思い出すことです。
家庭でできる15分の英単語練習
英単語のために、毎日長い時間を確保する必要はありません。小中学生なら、集中できる短い時間に区切ったほうが続けやすくなります。
ここでは、10語を学ぶ日の15分メニューを紹介します。
最初の5分で意味と音をつなげる
まず10語を眺め、意味を確認します。知らない単語だけでなく、見たことのある単語も発音を聞いてみましょう。
その後、音声に続いて声に出します。
この段階では、発音を完璧にする必要はありません。単語の音と意味を大まかにつなげることが目的です。
一度に10語が重い場合は、5語に減らして構いません。短時間で終わり、「もう一度できそう」と感じられる量に調整します。
次の5分で隠して書く
単語を見ながら1回だけ書き、つづりを確認します。その後、英単語を隠して、日本語の意味を見ながら書きます。
分からないときは、いつまでも悩ませなくて大丈夫です。10秒ほど考えて出てこなければ答えを見て、間違えた場所を確認します。
ここで「さっきやったでしょ」と言うと、子どもの意識が単語ではなく親の反応に向いてしまいます。
代わりに、「最初の3文字までは合っていたね」「ここだけ入れ替わったね」と、事実を短く伝えます。できた部分と直す部分が分かれば、次の行動に移りやすくなります。
最後の5分でミニテストをする
最後に、何も見ずにテストします。
10語すべてではなく、間違えた3語だけでも構いません。全問正解できなかった場合も、その場で何度もやり直させる必要はありません。
間違えた単語に印をつけ、翌日の最初にもう一度出します。
親が丸つけをするなら、点数だけで終わらせず、「昨日間違えた単語が書けたね」と変化を伝えてください。子どもは、満点だったかどうかだけでなく、自分の方法で覚えられた感覚を持てるようになります。
親が避けたい声かけと変えたい言い方
英単語を覚えられないとき、親はつい勉強量を増やそうとします。
「もっと書かないと覚えないよ」
「声が小さいから頭に入らないんじゃない?」
「10回でダメなら20回書こう」
こう言われると、子どもは勉強の方法を工夫するより、指示された回数を終わらせようとします。
次のように、結果ではなく方法へ目を向ける声かけに変えてみてください。
– 「何回書く?」ではなく「見ないで書けるか試してみる?」
– 「全部やり直して」ではなく「間違えた単語だけやろう」
– 「ちゃんと声を出して」ではなく「発音を一度聞いてみよう」
– 「どうして覚えられないの?」ではなく「どこが紛らわしかった?」
– 「昨日も間違えたよ」ではなく「今日はどこまで思い出せた?」
親が先生役になり、細かく指導し続ける必要はありません。
答え合わせをする、翌日に3問だけ出す、教材の音声を再生する。この程度でも十分な支えになります。
よくある失敗と立て直し方
新しい方法を試しても、最初からうまくいくとは限りません。家庭で起こりやすい失敗を先に知っておくと、立て直しやすくなります。
テストばかりになって子どもが嫌がる
思い出す練習が大切だからといって、親が何度も抜き打ちテストをすると、子どもが身構えてしまいます。
「昨日の単語、今すぐ言って」と突然聞くのではなく、「夕食の前に3問だけやる?」と予告しましょう。間違いを責めず、確認の時間として扱うことも大切です。
発音の間違いを細かく直しすぎる
発音は大切ですが、一音ずつ何度も直されると、声を出すこと自体が嫌になる子もいます。
まずは教材の音声を聞いてまねることを中心にします。学校の学習段階では、意味やつづりの定着とのバランスも必要です。その日に直すポイントは一つ程度に絞ると、負担が増えにくくなります。
一度に覚える単語が多すぎる
宿題の範囲が20語あっても、20語を一気に練習する必要はありません。
5語ずつに分け、覚えたら次へ進みます。途中で集中が切れたら、その日は10語で終え、翌日に残りを回す方法もあります。
量を減らすことは甘やかしではありません。覚えられる単位に分け、最終的に必要な範囲へ到達させるための調整です。
「声に出して書く」は目的ではなく道具
英単語を声に出して書くことを、完全にやめる必要はありません。
やめたいのは、意味を考えず、見本を写しながら決められた回数をこなす勉強です。声に出すことも書くことも、意味・音・つづりを結びつけるための道具として使えば役に立ちます。
今日から変えるなら、次の三つで十分です。
– 書く前に意味と発音を確認する
– 1回見たら隠し、自分で思い出して書く
– 間違えた単語だけ、翌日もう一度テストする
10回書かせる前に、1回隠して書かせてみてください。
そこで書けなかったとしても、失敗ではありません。覚えていない場所が見つかったということです。その場所だけ確認し、もう一度思い出せばいいのです。
英単語の勉強は、長く苦しむほど身につくものではありません。覚えたかどうかを確かめながら、必要な練習だけを重ねる。その習慣ができると、親が「もっと書きなさい」と言わなくても、子ども自身で勉強を進めやすくなります。
